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私が麻雀プロを続ける理由(後編)

はじめまして。
こんばんは。
こんにちは。

えりにゃです。


前回のnoteをご覧いただいた皆様、ありがとうございました。


自分の整理のために書いたはずでしたが、思ったより沢山のご意見や応援の声をいただきとても嬉しかったです。


まだご覧いただいていない方は、先にこちらのnoteをお読みいただけると嬉しいです。



麻雀プロ2年目 第一の事件


E3リーグ 第一節

なんやかやありつつも麻雀プロ1年目を乗り切った私は、気づいたら麻雀プロ2年生になっていた。


リーグ戦は3回目。同じE3リーグ。

去年は場決めをするだけでも楽しかったのに。あの頃の楽しさはどこにいってしまったのだろう。


正直最初の頃に感じていたキラキラは失われつつあり、場決めも親決めも取り出しも、全てがルーティンになっていた。


同卓者も期が後輩の方が多くなり、いろいろ教えてもらう立場から気づいたことをお伝えする立場になる。


「多分先輩方にも、私の所作や振る舞いにやきもきさせてしまっていたんだろうな…」


そんなことを考える余裕さえ生まれていた。


しかし、対局が始まると様子が一変した。


そう、全くアガれないのである。


何をどうしても配牌が聴牌することはなく、ただただツモられる時間が続いた。


ようやくトップを取れそうな半荘では、黙聴を入れていると競っている親からリーチが入り、現物がなくワンチャンスの4sで一発放銃し3着。


E3リーグ第一節の私の成績は、△185.8で終えた。


まあでもまだ16半荘あるし、麻雀だからこんなこともあるだろう。


その日はそうやってなんとか自分をなだめて帰路についた。



E3リーグ 第二節


まだ焦る時間ではない。普通に打って普通に勝とう。


できるだけ冷静に、冷静に、と気持ちを落ち着けながら望んだ第二節。


しかし今回も私にとっては苦しい展開が続いた。


あくまでもイメージいただくために記載するが、例えば同じ半荘の中で、リーチ後に8000、12000、24000と放銃しダブ箱になった。



などなど、私にとっては勝利が遠のく展開ばかりが続いた。
(もちろん同情してほしくて書いているのではなく、苦しさを伝えるために記載している。また、そもそもベース実力が足りないものだと自覚している。)



麻雀だからありうるのは理屈上わかる。でも、同時多発する可能性ってどんくらい?と思わず思ってしまう事象がこれ以外にも立て続けに起きた。


E3リーグ第二節の私の成績は、△207.0で終えた。


第一節の成績と合わせると、△392.8。



もちろん何があるかわからないのが麻雀だ。とはいえ現状降級する可能性が最も高い、堂々のリーグ最下位となった。


「この場で泣いてはいけない。」


それだけを考えて会場を後にした。


すれ違った先輩や同期と会話をすることができなかった。



話すと涙がこぼれてしまいそうだった。


私の1年が全て否定されたように感じた。
そんな忘れられない1日となった。


麻雀プロ2年目 第二の事件


忘れもしないリーグ戦第二節から3日後。
シンデレラファイトの一次予選が始まった。


正直麻雀が怖くて怖くて仕方なかった。
今の私が勝てるとは到底思えなかった。


会社を休んで迷惑をかけてまで出場する意味があるのか?
私は迷いながら会場に向かった。



でも麻雀は恐ろしい競技である。
麻雀中は麻雀のことしか一切考えることができない。
あんなに苦しかった思いが私から浮遊し、頭の中は現在の盤面に集中していた。



展開が味方し、一次予選、二次予選と勝ち上がり、三次予選も勝ち上がれそうなポジションで最終戦を迎えた。



しかし結論から言うと、私は三次予選で敗退した。
同卓者にトップラスという条件をクリアされ、かつ別卓でも抜かされたことで、次点での敗退となってしまったのだ。


どうしてあの時刺せなかったのだろうか。


どうしてあの時あと1牌が押せなかったのだろうか。



自分の引き出しの少なさを呪った。想像力のなさを恨んだ。


その場面を思い出すだけで動悸が止まらなくなり、うまく呼吸ができないまま会場を後にした。


でも19:00からmtg入れちゃったからな。本業に迷惑かけるわけにはいかない。


いくつもの場面を一生懸命頭から排除し、なんとかカフェでmtgを終えた。


それでも動悸が止まることはなかった。
最寄駅に着き、その日一度も食事をしていないことに気づいた。



まずは何か口に入れなくては。



なんとかラーメンを流し込み、帰宅してからも動悸が収まることはなかった。


その日の夜。動悸と息苦しさにより、何度も目を覚ました。
それでも朝はやってきて、仕事に行かなければならない。



そんな日が数日続いた。


追い打ちをかけるように治りかけていた風邪が悪化し、私は文字通り「ぼろぼろ」になっていった。


経験から得たものたち


その時の私は必死だった。なんとかこの苦しみから解放されたい。その一心でいろんな本や動画や記事を片っ端から調べた。


その中で、その時の自分にとてもしっくりきた学びを3点共有する。

① ◯にたいときは、寒いかお腹が空いている



普段から大好きな岡田斗司夫の動画より。


もしあなたがどうしても辛くて苦しくて、◯にたい気持ち・消えたい気持ちになっているのならば。


まずは寒くないか?お腹が空いていないか?を確認するというもの。


とてもシンプルではあるが、忘れがちなことである。


確かに寒くてお腹が空いていると、人はネガティブな考えに引っ張られてしまうものだ。


だからその2つを満たすだけでもだいぶ苦しみから解放されるという教え。


私はこの動画を見て、乗り換え駅で降りて一番評価の高い洋食屋に入った。


その洋食屋は店員が皆さん60代は超えているだろうベテランの方ばかりで、注文を取るときも食事を運んでくる時も、とにかく明るかった。


人の暖かさに触れ、暖かいご飯を食べた私は確かに少し救われたのだった。


② 花鳥風月を感じる


一番最近自然に触れたのはいつだろうか。


自然に触れて感情が溢れた瞬間はいつだろうか。



知らず知らずのうちに私たちは、「人間関係」という狭い世界で生きている。


そこここに溢れる自然の素晴らしさに気づかずに。



養老孟司の言葉にハッとした。


私が最後に月を綺麗だと思ったのはいつだろうか?


人間として備わっている、あるがままの自然への愛情。


長く勝負の世界に身を置いていると忘れていた感情が、身体中を駆け巡った。


ふと空を見上げた。



そこには細く輝く月が浮かんでいた。


今日も綺麗だな


思わず気が抜けて、次の瞬間には月が滲んでいた。


③ いかに自分が誰かに支えられているかを感じる


誰かに支えてもらうという経験は、普段は感じることができない特別な経験である。


この期間、私もそんな特別な経験をしたのだった。


まずお1人目は、鈴木ケンタプロ。


10年以上先輩でA1リーガーという実力者でありながら、末端の新人プロにも暖かい言葉をかけてくださる優しい先輩。

きっと私の成績を誰よりも追ってくれている笑。


推せる


お2人目は、最高位戦の片野明プロ。

アキラとは麻雀を始めた時からの数年来の友だちで、何度も一緒にお酒を飲んだ。
私の不器用さも生真面目さも頑固さも、とてもよくわかってくれている。


忙しい合間に電話をかけてくれて、泣きながら吐き出す私の言葉をずっと聞いてくれていた。


「結果に引っ張られないって考えがとても大事だと思ってる」


「その時できなかったかもしれないけど、こうすればよかったという選択肢に気づけていることがよいことだよ」


彼のそんな言葉たちに救われた。


ありがちょ



私が麻雀プロを続ける理由


今まで様々な考えや思いを述べたが、最後にこのnoteの本論を述べて終わりたい。


様々な考え方や周りのフォローもあり少し落ち着いた私に、ふとこんな疑問が浮かんだ。



なぜ私は苦しんでいるのだろうか?



「私は麻雀や麻雀プロから非常に大きな影響を受けた」

「だから私も誰かにとって何かのきっかけとなる存在になりたい」

「そのためには麻雀の実力を高め、強くならなければならない」

「と同時に、人間としても成長していかなければならない」

「そのためにプロの世界という環境に身を置きたい」



私がプロになったのは、こんな理由からだった。


そう、「麻雀に強くなるため」にプロになったのだ。



だけどいつしか「勝ちたい」「より多くの人に応援されたい」

そんな欲に支配されて、本来の目的を見失っていた。


私は「強くなりたい」んだ


それに気づいてからは、第一の事件も第二の事件も強くなるための教材としてどんどん活用していきたいと思えるようになった。


結果に繋がった道中の選択を後悔して苦しむのではなく、プロセスとして「よりよい選択ができていたか?」という思考に変わった。


今まで「結果」だと思っていたものが、全て強くなるための「過程」に変わった瞬間だった。



話は脱線するが、私は今まで他者の勝利を素直に喜べなかった。


もちろん「おめでとう」と思う気持ちに嘘はないが、どこかで「私だって勝ちたい」という気持ちが邪魔をしてしまう。



しかし、この経験を経たことで、私は心から「おめでとう」と言えるようになった。


なぜなら、他者の勝利と自分の「強くなりたい」という目的は、全く交わっていない別次元の話だからである。


この気づきを得たちょうど2日後に、新人王戦の決勝で同期の當眞くんが優勝した。


私は心底嬉しかった。


心から「おめでとう」と言えるって、こんなに嬉しいことなんだ。



なんだか自分が新しい自分に生まれ変わったような気がした。



當眞くん、本当に本当におめでとう!



まとめ


この経験は近年稀に見る辛さだった。



数年前、人生で最大の辛い出来事があったのだが、それよりも遥かに辛かったように思う(この経験は今度有料記事で書こうかな)。


しかし、この経験があったからこそ、改めて自分が「麻雀プロを続ける理由」に気づくことができた。


人の暖かさに触れ、私も誰かにとってこんな暖かな人間になりたいと思うことができた。


「麻雀に強くなりたい」


今後もこの目的を忘れずに、プロ活動をしていきたい。




長文ご覧いただきありがとうございました。



今後も応援してくださっている皆様に感謝の気持ちを忘れず、自分らしく成長していきたいと思います。


いつかどこかでお会いできる日を楽しみにしています!


小嶋恵梨奈 / えりにゃ


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