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1/27/24(土) 國樂團、李敏中さん、書類

 今日も寒い。あんまり冬服を持ってこなかったので、いつも同じ格好をしている。それか母とおばのお下がりの着回し。

 台湾戯曲中心へ国楽を聴きに行った。戯曲って同じ字面だけど、日本と台湾で全く意味が違う。日本では演劇の台本、こちらでは伝統芸能のことだ。京劇とか歌仔戲とかああいうもの。

 でも台湾の伝統芸能といっても、漢民族の伝統芸能のことなので、原住民の私はあんまり馴染みがない。國樂=漢民族の伝統音楽で、國樂團というのは、漢民族の民族楽器をクラシックのオーケストラみたいな配置に並べて、コンサートホールで演奏している。バイオリンがいるところに二胡がいて、指揮者の正面に琵琶(ピパ)、そして金管のいるところになんとチャルメラだ。今日のコンサートでは4人のチャルメラが一列に並んでいた。それ以外にも、揚琴、古箏、笛、笙、阮、などなどいろんな民族楽器がこんな感じでオーケストラ状に並んでいる。弦楽器チームは、バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバス、を模して、二胡、中胡、革胡、低音革胡とある。今回のプログラムだと、環保(エコ)革胡、環保低音革胡とわざわざ書いてるけど、、、エコニシキヘビ皮?

 気になって調べてると、革胡、低音革胡は1950年代に伝統楽器をオーケストラ化する時に、チェロ、コントラバスの低音に対応するため新しく作った楽器だそうで、よりよく鳴る楽器を求めて改良を重ねていく時代と世の中でエコ意識の高まっていく時代がちょうど重なって、こうなったらしい。見た目もかなり謎な楽器だけど、奏者がいる間はこの不思議な楽器も時代の中で発展を続けていくんだろう。

 世界のいろんなところに伝統楽器オーケストラみたいなものがあるけど、あくまで録音で聴くかぎりとはいえ、正直あまり好きになったことがない。さすがにちょっと安直じゃろう?とつい思ってしまって。なんでわざわざオーケストラ形式にしたのか。やってみたかったから、以上の理由が私にはわからなかった。よっぽどのことがなければこういうものを聴きに行くことはないだろうな、と思っていたのに、よっぽどのことが実際起きてしまって、ひょこひょこ聴きに行くことになった。あまり何も考えないようにして。

 実際にホールで聴いてみると、まず見た目が面白い。並んでいる楽器と聴こえてくる音を、へえー、へえー、と確認している間に2〜3曲くらいたのしく聴いてしまっている。それだけでも一度は聴いてみるもんだな、と思ったけど、一曲、心の底から感動した曲があった。李敏中という若い作曲家がこの演奏会のために委託で作った、柳琴というマンドリンみたいな楽器(この楽器のこともはじめて知った)の協奏曲。ぱっと聴くとラベルやドビュッシーとかみたいな雰囲気で、現代的なジャズのハーモニーやリズムがほんの時々あって、中国的な旋律がほぼ全く出てこない。それなのに民族楽器集めて西洋音楽やってみました、というふうにならない。何より、楽器たちが、鳴っている。二胡7人がハーモニクスでピアニッシモになるところとか、ぞくぞくするほどだった。今の時代を生きている中、自分の楽器で、自分の場所から、今の世界で音楽をするっていう感じがすごく伝わってきた。柳琴がかけ回っていた(吳偲婕さん素晴らしかった)。

國樂團も吳さんも衣装が素敵。

 あの曲1曲聴けただけでも本当によかったと思いながら帰ってきた。途中近所で温かい綠豆蒜を買って、配料三種は黑糖粉粿、綜合圓、仙草。ほんのり甘くて温かいものが買えることがうれしい。

 食べ終わって、書類作成。日本にいる友人2人とオンラインで繋ぎながら、確認しあったり、話し合ったり、ひとりごとを言ったりしながら書類を埋めていく。一人でやらないって素晴らしいな。

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