サンタンカ(誕生花ss)
暑い。うだるような暑さ、どころではなく、これでは焼け死ぬかもしれない。家の中も暑いけれど、日差しが入らない分、外よりはマシだ。だから今日は家の中にいたかったのに、母さんめ。
「おや、神様へのお供えかい。えらいね」
近所のおばさんに頭を撫でられる。ぼくはもう小さい子どもじゃないってのに、恥ずかしい。余計暑くなったので早足で歩くと、手の中の赤い花が一緒に揺れる。神様にお供えするお花。色が強すぎて、まるで日差しをそのまま持っているような気がする。
「それ、お供えの花でしょう」