アロマティカス(誕生花ss)
河川敷とかいうあまりにベタ、王道中の王道過ぎて逆に珍しいくらいの舞台で、弟は二歳上の不良生徒五名と、たった一人で闘っていた。夕陽に照らされた川の美しさが、揉み合い取っ組み合い罵倒を飛ばし合う野郎共のお陰で台無しだ。
おれは、ここまで案内してくれた美少女と共に、離れた場所から様子を観察している。弟は人数に気圧されることもなく果敢に立ち向かっているが、なにぶん多勢に無勢の感がある。
「今回の原因は?」
「購買のメロンパンです」
美少女の話によると、購買で時折売られる老舗ホテ