窓拭き
ある若いカップルが新しい家に引っ越してきた。
翌朝、朝食を食べていると、 妻は隣人が洗濯物を干しているのを見て,
「洗濯物が あまりきれいになってないみたい。 洗濯石けんを 変えたほうがいいのかもしれない。 それか、 洗濯機を買いかえた方がよさそうね。」 と言っていた。
夫は黙って聞いていた。
隣人が洗濯物を干すたびに、 妻は同じようなことを言っていた。
一ヶ月後、
洗濯物がきれいなのを見て、驚いて、 妻は夫にこう言った。
「ほら、あの人、きれいに洗えてる! 石けんを変えたのかしら? それとも 洗濯機が新しくなったのかな?」
すると、夫は、 「あの人は、 今朝早く起きて、 窓を掃除してたんだよ。」 と答えた。
+ + + +
人を見るときに何が見えるかは、 見る窓の透明度にかかっている。
人をジャッジすることを、 「無知の芸術」とも言うらしい。
なぜなら、自分の知らない情報を 自分の作ったストーリーで 埋めてしまうから。
この物語の奥さんも 勝手に自分で想像して、 ストーリーを作っている。
「人をジャッジすることで、 その人がどんな人なのかが 決まるわけではない。
それはあなたが 誰であるかを定義する。」
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?