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天才の共演


エクソンプロヴァンスの
Festival de Pâques イースターフェスティバルにて
天才の共演を聴いてきた。

今をときめく中国人ピアニストのユジャ・ワンと
10代から頭角を現し
2年前に25歳でパリ管の音楽監督に就任して
話題を呼んでいる
フィンランドの天才指揮者クラウス・マケラ!

度々共演していた彼ら、
なんとバレンタインデーに
ユジャが交際宣言のインスタグラムをUpしたものだから
大物カップルとしてますます注目されている。


プロヴァンス大劇場

会場に着くと
すでに人だかりができていて
たくさんの知人と会った。

今回のプログラムは

シベリウス 悲しきワルツ
リンドベルイ ピアノ協奏曲3番
チャイコフスキー 交響曲6番悲愴

満員の大劇場が暗くなり
オーケストラのメンバーが登場、
音合わせが終わると
長身のマケラ氏が颯爽と出てきた。
噂通りのイケメンだ。


男前!!

しかし演奏が始まると
そのあまりのカッコよさに魂が抜き取られたように
魅入ってしまった。
こんな指揮は見たことがない。

美しいシベリウスが終わると
いよいよユジャの登場だ。

我が家はユジャのファンで
しょっちゅうインターネットで演奏を
見聞きしていたけれど
10年以上前に
ラロックダンテロン音楽祭で予約していた演奏会が
キャンセルになり
生で演奏を聞くのは初めてだった。

すっかり彼女のトレードマークとなった
ハデハデなミニスカートと15センチはありそうな
ハイヒール。ピカピカの笑顔、
人魚のように腰から上半身を折りたたむお辞儀、
そして全くブレない完璧な演奏は
ビデオで観ていたとおりだった。

マケラ氏の同郷フィンランドの作曲家リンドベルイが
ユジャのために書いたという
コンチェルトは
北国の自然の力強さや緻密さを表わしているようで
彼女によく似合っていた。

ユジャ・ワン


大歓声と拍手が鳴り止まず
アンコールは3回。
フランスだからか
プーランクの愛の小道でしっとりと聴かせた後は
チャイコフスキーの白鳥の湖(4羽の白鳥)と
カルメンという超絶技巧のアレンジもので
盛り上がった。

ユジャが太陽のような笑顔で去り
長い休憩の後、
舞台は再びマケラ氏とパリ管だけのものとなった。

マケラ氏の指揮棒が
私にはもう魔法の杖にしか見えない。
ちょっと一振りするとオーケストラの音が変わる。
かと思うとダンサーのように
全身を音楽に使い、
時には身動きもせず
目だけで全てを支配しているようだった。

彼の動きを1ミリとも見逃すものかというように
パリ管のメンバーも
ものすごい集中力で弾いていた。

ピアニッシモで最後の一音が鳴らされると
マケラ氏はじっと彫刻のように固まって項垂れていた。
息を潜めるような沈黙のあと
割れるような拍手が長く長く鳴り響いた。

すばらしいコンサートだった。

深くお辞儀をするマケラ氏


前日はパリで
翌日はリヨンで同じプログラムのコンサートが
行われたそう。

パリでの天才の共演がこちらから視聴できます
(10月まで!)↓



















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