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絹か木綿か

体調不良のときにかぎって、母としてのタスクが多い。

力なく横たわる、その頭の中には

家事をやらないと
宿題や自学の見直しをしないと
仕事であるライティングの募集をしないと

タスク管理と調整で頭がいっぱいだった。

子どもたちが自学をしている姿を横たわりながらぼーっと眺めていると、
小4の第一子がわたしに寄り添い、声をかけてくれた。

ママ、心配しなくていいからね。
お夕飯は……ね。

あなたがお夕飯を作ってくれるの?
とてもありがたい。
こころをこめて
「ありがとう。よろしくたのみます」
と応えた。

子どものいうお夕飯とはなんだろう?

料理に関するできることといえば

おにぎりに海苔を巻く
きゅうりを塩もみする
お味噌汁をつくる

くらいかな。

これだけのスキルがあれば、立派な献立だ。

まだ出汁のとり方を伝えていないから、出汁パックは子どもたちが優先して使えるようにしている。
わたしが使わずにとっておいてよかった。

第一子は棚からスプーンを取り出し、冷蔵庫に入っている白い物体を手にとった。

なるほど。
お味噌汁に白い物体を入れるのね。

スプーンで崩しながらいれると、包丁を使わなくて良いよ。
以前に伝えていた内容を覚えていたんだ。

感動しているわたしを尻目に、子どもは台所に立った。

右手にスプーン、左手に白い物体を持っている。

そして、まるで掃除機の「強」の勢いそのままに

白い物体は口の中へ吸い込まれていった。

体調が悪くて忘れていた。
うちの第一子は大の冷奴好きなのだ。

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