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You are included(あなたは仲間)

June 23, 2021

関東も先週から遅めの梅雨入りをしました。6月も下旬ですが、6月はPride Month。世界各地でLGBTQを祝うプライドパレード(今年はオンライン)が催されたようです。日本では一足早くゴールデンウィークにスターバックスが虹色のタンブラーを売り出したりといったイベントが行われていました。

サンフランシスコはアメリカの中でも多様性を象徴する街ですが、サンフランシスコ州立大学には「LGBTQIA+Student Life」という性的マイノリティの学生のためのオフィスがあります。LGBTQIA+は、レズビアン、ゲイ(同性愛)、バイセクシュアル(両性愛)、トランスジェンダー(心と体の性の不一致)、クエスチョニング(性の不定義)、インターセックス(体の性の発達が生まれつき異なる)、アセクシャル(性的感情をもたない)の総称です。

LGBTQIA+Student Lifeはセクシャリティに関するオフィスですが、サンフランシスコ州立大学には、ほかに、Black Unity Center(黒人学生のサポート)、Dream Resource Center(幼少時に不法移民として渡米した学生(※)のサポート)、Interfaith Programs Unit(異なる宗教を理解するプログラム)、Latinx Student Services(ラテンアメリカ系学生のサポート)のオフィスがあり、「Equity & Community Inclusion」という部門に位置づけられています。

Equity & Community Inclusionは、学生間の格差をなくし、包括的なコミュニティをつくることがミッション。これまで公正な立ち位置を与えられてこなかった学生(historically underrepresented students:歴史的に過小に扱われてきた学生)を大学がサポートしています。

こうした取り組みの背景には、「サンフランシスコ州立大学の構成員全員が、安全に学び、生活し、働く環境におかれる権利をもつ(Everyone at SF State has a right to a safe learning,living, and working environment.)」という考え方があります。アメリカには「Title Ⅸ(タイトルナイン:教育改正法第9編)」という高等教育機関における男女の機会均等を定めた法律(1972年成立)があり、大学のキャンパス内外における教育プログラムや活動について、性別やジェンダーアイデンティティを理由に差別することが法的にも禁じられています。

また、教育機関だけでなく、企業でも、証券会社ナスダックは、昨年12月に上場企業に対して少なくとも1人の女性と1人の人種的マイノリティまたはLGBTQを自認する人を役員に任命することを義務づけました。投資銀行ゴールドマン・サックスも、女性役員を登用していない企業とは取引を行わない方針を表明しています。これはマイノリティの登用が社会的正義だからということではなく、ナスダックは「取締役会の多様性を高めることが企業の財務パフォーマンスにプラスの影響を与えるというデータに基づいたため」、ゴールドマン・サックスは「上場企業のうち取締役に女性を1人以上起用している企業は、そうでない企業よりも業績が著しく向上しているため」としています。

LGBT法案の国会提出が見送られた日本からはアメリカが遠い国に思えますが、日本でもまわりを見渡せば、同性カップルの日常を描くエアリズムのCMも、就活の場で自分らしい髪型に悩んだトランスジェンダーにスポットをあてたシャンプーのCMも流れています。

さて、今日はノー残業デーです。おたがいを尊重するにはまずは自分自身を大切に。たまった仕事もいったん横におき、今日は業務を早めに切り上げて、自分らしさと向き合う時間をつくってみるのはいかがでしょうか。

(※)家族とともに幼少時にアメリカにきて不法移民となった若者は「dreamer」と呼ばれ、2012年にオバマ政権が、強制退去処分を猶予する措置(DACA: Deferred Action for Childhood Arrivals)を導入。大学にも教育を受ける権利をサポートするオフィスがあります。

*日本の企業もいろいろなCMをつくっています(Youtubeなので音が出ます)
・ユニクロ
https://www.youtube.com/watch?v=PsfpCd0TAxU
・プライドヘア
https://www.youtube.com/watch?v=XG9OWR1bmQo
・ライフル
https://www.youtube.com/watch?v=2LQO7HkYoqA

*映画:ビリーブ(2019年)
https://eiga.com/movie/89008/
アメリカでも、1950年代にはハーバード大学ロースクールには学生500人のうち女子学生が9人しかおらず、1970年代には男性が親の介護保険の控除を申請しても却下されていました。人の心を動かし、法律を動かし、社会を変えた実在の弁護士の物語。

*San Francisco State University: Equity & Community Inclusion
https://equity.sfsu.edu/home

(写真:サンフランシスコの人気ベイカリー  Tartine Bakery & Cafeのトイレ)


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