フクダエリ

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最近の記事

    • キンモクセイと霜降

       今日はやたらとキンモクセイが香っている。玄関開けたらキンモクセイ、角を曲がるとキンモクセイ。さっき通った道の、昨日の雨で落ちた銀杏の実の強烈な匂いさえも寛大な心で受け止められるほど、キンモクセイの香りに心がわくわくする。空を見上げるとキンモクセイの木のようなもこもことしたいわし雲まで並んで、THE 秋、である。  ウクライナにもそんな花は咲いているのだろうか、ロシアにもそういう雲は浮かんでいるだろうか。  そんな花が咲いていたとして、そんな雲が見えていたとして、 地下シェ

      • はたして ネコ

         ふと、子猫の鳴き声が聞こえてきた。それも1匹じゃない。か細いけれど力強い大合唱に惹かれて、思わず窓を開けた。ら、止まった。  ここは2階。眼下には隣の家の庭が見える。その向こうに道を挟んで月極駐車場―。  子猫の声は確かに聞こえた。けれどもうどこかに行ってしまったのかもしれない。残念に思いながら、それにしても、なんか視線を感じる。気のせいかなと思いつつ、しばらく外を眺めていると、・・・目が合った!隣の家の縁側の下、その陰から小さな小さな目玉が6つ。地面から30cmもないその

        • ボクシングジム

          「やる気あンのかァ」 めずらしく遠くから怒号が飛んだ。それを浴びた青年は判っているのかシカトしているのか、曖昧な態度のままサンドバッグを打ち続けた。試合を控えている彼。けれど、トレーニングに身が入らないでいることは素人の私が見てもわかった。そうこうしているうちに青年は早々にトレーニングを切り上げて帰る支度を始めた。 選手と素人が入り交じるボクシングジムの中で、トレーナーはそれぞれと明るくコミュニケーションを取りながら青年に近づいた。 何でもうやらないンだよ、厳しい声色で

          パン屋の親父さん

           「このパンはねぇ、今日はカリッとしてるけど明日になったらモチっとしてくるから。日ごとにだんだん膨らんで、味もね、変化してくるから。試してみてください。」 初めてここでパンを買ったとき、フランスパンを袋に入れながらそう教えてくれたパン屋の親父さん。それからもう4年以上たったが、硬めのパンが好きな私はフランスパンの種類が豊富なこのパン屋にすっかりはまり、気づけば常連(たまにしか来ないけど)になっている。  「こんなご時世だからストレスたまっちゃうよねぇ~」 なんて言いながら時

          パン屋の親父さん