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【空間デザイン考察】緻密なコンセプトづくりが叶えること

今年の4月11日に星野リゾートが手がけるシティホテル、OMO5東京五反田がOPENしました。

五反田はかつての職場があった思い入れの深い場所。
毎日遅くまで働いて、たぶんこれまでの人生で1番辛くて1番充実した時間を過ごせた場所。

そんな五反田にOMO5ができたと聞いてうれしくて、東京に行った際に少し覗いてきました。
宿泊はしていないのでカフェスペースのみになりますが、空間デザイン考察をしてみたいと思います。

OMO5東京五反田のコンセプト

コンセプトは「夜景とご馳走のパラダイス」。 
〜昔ながらのお店から、近代的な高層ビルまでが入り混じる五反田は、実は名店ひしめくグルメシティ。ご馳走でお腹いっぱいになった後は、客室から東京の夜景に酔いしれる、まるでパラダイスにいるような幸せなひとときが待っています〜

(公式HPより引用)

このコンセプトがどのように空間デザインに表現されていたかを振り返っていきたいと思います。


OMO5五反田の空間デザイン考察

“入り混じる五反田”の表現方法

エントランスサイン

まず、エントランスを入って目に飛び込んでくるのがこちらの賑やかなネオンサイン。

可愛い。すき。
東京の街並みを背景に浮かぶ星といけめん三日月。

一文字一文字フォントと色の違うGOTANDAの文字は時代を超えた建物やお店が入り混じる五反田を表しているように思えます。

ここがパラダイスの入口だと思うと、とてもワクワクしますね。

カフェの入り口

続いて2階のカフェ。木目を基調に、ブルーとイエローをアクセントカラーとしたポップな空間でした。

ブルーとイエローはおおよそ補色の関係にあるので、一緒に使うとお互いを引き立て合い、賑やかで楽しげな空間になります。

色相環

画像のように、ブルーとイエローだけではなく色相環で反対の位置にくる色同士を補色と呼びます。

他の補色同士の組み合わせと比べると、この2色は特に見る人に正反対の印象を与えるな、と気付きました。

イエロー:元気、陽気、無邪気なイメージ
ブルー:静寂、冷静、大人びたイメージ

昔ながらの建物と近代的な建物も正反対のものなので、この2色での表現はとてもしっくりきます。

そして、ブルーとイエローは日本人が好感をもてる組み合わせでもあるのかなと思います。この2色は空間デザインにとどまらずWebデザイン、本の表紙など様々な場面で使われています。

青空とひまわり、青空と太陽、海とバナナボートなど、青と黄色は見ている人に爽やかな印象を与えます。

みんなだいすきIKEAも青と黄色ですね。

カフェ店内写真

店内はブルーとイエローの他にもピンク、オレンジ、ブラウン、グリーンなどたくさんの色が使われていました。ここでも色々な顔をもつ五反田が表現されています。

ドロップが散らばったみたいにカラフルで、まさにわたしの大好物である“日常を忘れられる空間”でした。

カラフルな色使いだけではなく、よく見ると使われている素材も様々。
テーブルの天板が大理石調のものもあれば、木目のものもありました。椅子にはラタンが使われていたり、レザーが使われていたり。
大理石は高級感のあるイメージですが、ラタンはカジュアルでリラックスな雰囲気があります。

印象をひとつに絞らない、という方法で五反田の多様性が表されています。

そして天井までそびえ立つ柱には、木目柄が使われていました。屋上庭園の木々とリンクさせ、内と外の調和を測っているのかもしれません。

ところでこのカフェ、色も素材も多種多様なものが使われているのに、ごちゃごちゃして見えずまとまりを感じられます。その理由はなんだろう、と考え気づいたことがあります。

それは、壁の素材は2種類しか使われていないこと。ベースはイエローの艶のあるタイルが貼られていて、一部分だけチェック柄のクロス。
箱自体をシンプルなデザインにすることで、中身で冒険しても上手くまとまるようになっています。
家具の賑やかさともバランスが取れるように、鮮やかな色のタイルを使い、貼る向きを変えることで単調にならずにリズム感が生まれていました。


庭園がある意味

空中庭園


OMO5には2階のロビーから出入りできる庭園があります。大都会の中で食を楽しみ、夜景を見ながら自然を楽しむこともできるまさにパラダイスのようなホテルです。

庭園がつくられた理由は、都会の中で自然を満喫するためだけでは無いと思います。
なぜなら、「パラダイス」の語源は古代ギリシャ語の「pairidaēza」。
これは囲まれた庭園や公園を意味する言葉だそう。
この語源も忠実に表現しているのではないかなと思います。


まとめ

緻密なコンセプトづくりは魅力を伝えやすくする

コンセプトの中にもある“パラダイス”。
OMO5東京五反田では、このワードがカラフルで個性的なインテリアで表現されていました。

“パラダイス”という言葉から皆が皆カラフルな空間を想像するか、といったらそうではないと思います。
植物に囲まれたリゾート空間だったり、白で統一された神秘的な空間だったりを想像する人もいるかもしれません。

しかし、夜景とご馳走という言葉と掛け合わされることで華やかで楽しそうなイメージがプラスされます。さらに昔ながらのお店や近代的なオフィスビルが入り混じる五反田の多様性が背景として謳われています。
このストーリーづくりあるからこそ、パラダイスというコンセプトをカラフルさと素材感で表現していることに納得でき、その世界観を存分に堪能することができます。

地域の特性を見極め、唯一無二のコンセプトをつくることで、デザインに説得力が出て最大限の魅力を届けられる。

OMO5東京五反田で学んだことは、個性的な色使いや素材使いだけでは無く、コンセプトを緻密に作り上げることによって、伝えたい魅力をわかりやすく相手に届けられる、ということでした。

次は泊まりで訪れ、客室もじっくり観察してみたいと思います。


最後まで読んでいただきありがとうございます。
次回もよろしくお願いいたします!

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