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Essay|愛していると、I love youと

魔女の宅急便が好きだ。

ジブリ作品は全部大好きだけど、中でも特筆して好きな作品だ。もう小さい頃から数え切れないほど見ているし、とってもベタだけど、何かがあって落ち込んだときは、一度飛べなくなってしまったキキやあの街の人のことを思い出して、自分も頑張ろうと思う。それぐらい刷り込まれている作品だ。

言うまでもなく全てのシーン大好きだけど、キキが親元から離れるシーンについて書いてみたい。


それはオープニングのシーン。

キキが生まれ育った家を離れるとき、パパとお別れの挨拶をする場面がある。高い高いをしながら父の本音と励ましの言葉をキキに伝えたあと、日本語版では最後にキキはパパをギュッて抱きしめるだけで何も台詞はない。この何も言わずに抱きしめる数秒の間に、胸を掴まれる。まるで「愛してるよ」が聞こえてくるみたい。

一方、英語版でのキキはギュッと抱きしめるシーンで「I love you, Dad.」と言いながらハグをする。他の台詞はほぼ言い換えて過不足はないのに、このシーンは明らかに異なっている。「I love you,Dad」に字幕も入らない。

文化の違いがすごく現れていて胸がぎゅっとなる大好きな表現だ。

言葉は不思議だ。アニメーションの場合、演じている人が違うのだから当然だが、それでもどのキャラクターも日本語を話すそれと、英語を話すそれとは少し性格が違うように思えてくる。

日本の愛情表現と、英語で伝えるI love you。

言葉にしないと伝わらない時があるし、でも言葉にならないからこそ伝わるものがあるのも事実だ。言葉を学ぶというのは、その国の文化や視点を知ることなのだ。

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