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映画みたいなそれ

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1本の映画をピックアップして書く映画エッセイ
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2022年1月の記事一覧

Essay|この先に見る未来に

少し先の未来を見ることは、今の私たちをうんと勇気付けると思う。 幼い頃、こんなことがあった。母のいたずらか思惑か今となってはわからないが、私は5歳か6歳の(それすらうろ覚えだけど)お誕生日プレゼントに「ついておいで」と当時住んでいたマンションから少し歩いた先の、ある一軒家に連れて行かれた。 連れて行かれた先は、小さな個人でやっているピアノ教室。物がもらえると思い込んでいた私にとって、見知らぬ場所に連れられ「これがプレゼントだよ」の意味がまったく理解できなかった。 わからな

Essay|憧れの人。

わたしの憧れの人は、みな料理上手だ。 暮らしを慈しむその眼差しに、その実利的な日々に、わたしは焦がれ続けている。ポーズでも何でもなくさらっと作ってしまうそれ。しかもただただ食べる相手を思ってることが伝わってくる手料理に、心底惚れてしまう。 かく言うわたしは料理上手ではない。 料理を作っている時、味見をするのを時々忘れてしまうし、火のコントロールもどうにも甘い。なんだったらすぐよそ見をしてしまう。でも料理をするのは好きだ。 もっと言うとキッチンに立つ、そのことが好きだ。

Essay|愛していると、I love youと

魔女の宅急便が好きだ。 ジブリ作品は全部大好きだけど、中でも特筆して好きな作品だ。もう小さい頃から数え切れないほど見ているし、とってもベタだけど、何かがあって落ち込んだときは、一度飛べなくなってしまったキキやあの街の人のことを思い出して、自分も頑張ろうと思う。それぐらい刷り込まれている作品だ。 言うまでもなく全てのシーン大好きだけど、キキが親元から離れるシーンについて書いてみたい。 それはオープニングのシーン。 キキが生まれ育った家を離れるとき、パパとお別れの挨拶をす