元アイドル、"転生しない"日常。 #2

こんばんは、英莉です。
前回の記事をたくさんの方に読んでいただけて、
アイドルのセカンドキャリアにこれほど多くの方が興味を持ってくださっているということは
現役アイドルさんたちにとって希望だなと感じました。

社会に出ようと思った側は当然、
一般社会で求められる力を身につけようと努力するべきなんですが
それと同じくらい、気持ちを受け入れて教育してくださる方も必要だと思うんです。
アイドル側から言うと甘えみたいになってしまいますが。

私自身、芸能界と一般社会の常識の違いには苦しめられましたし、まだまだ学ぶことばかりです。
元アイドルたちは決して悪気があって一般社会の常識からかけ離れた行動を取るわけではないということを理解していただけたら...
もちろん本人の真剣な姿勢あってこそ、ですが。

少し長くなってしまいましたが、
元アイドル、"転生しない"日常。

「元アイドル、はじめての就活」

お楽しみください。

【自己紹介】
英莉(えり)
・元アイドル
・アイドル期間は2019年2月〜2022年2月
・活動中は3年間大学を休学
・2023年3月 立教大学卒
・現在は営業職で社会人の基礎から勉強中

【前回の記事はこちら】

【前回のあらすじ】
今後の人生を総合的に考慮して、
「アイドルはもうやらない」と決意した英莉さん。
求人サイトに登録してみましたが、この経歴。
さあ、どうなる…？！

2. 元アイドル、はじめての就活

私、なんで在学中に就活していなかったの…
スクロールするたびに後悔の波が押し寄せてくる。

就活を始めてから知ったのですが、どうやら卒業してから仕事を探すと
"新卒扱い"にはならないらしい。
既卒＝第二新卒の扱いになる。

新卒はどの企業もこぞって募集しているのに、
既卒に絞るとまあ少ない。
やりたい職種を絞るとさらに少なくなる。

求人サイトで検索しているのは、
「既卒・第二新卒歓迎」「未経験可」「正社員」
「東京都の求人」「アイデアを活かせる仕事」

検索結果…
聞いたことのない企業ばっかり出てくる。
選べる立場ではないことは重々承知なのですが、
正直どれも同じに見える…
IT系？べんちゃー？入ったら分かるんだろうけど、
具体的な仕事内容が見えてこない
何より、全く興味が湧かない…
私ってば、とんでもない社不だぜ…

よさげな求人みっけ！と思って飛びつくと
"社会人経験2年以上必須"

あの、アイドルも社会人経験に含まれますか…？
(これは微妙なラインらしい)

ワクワクする仕事がなかなか見つからなくて
見つけても自分が条件に当てはまらなくて
調べれば調べるほど落ち込むの、これなんですか。

そもそもワクワクする仕事に就きたいと思うこと自体が間違っているの？
世の中のみんなは、やりたくもない仕事をやっているの？
その中でやりがいを見つけていくもの？
でも、ワクワクしないとやる気出なくない？

もしかして私って、仕事を選べる立場じゃない？
一応、MARCH出たんだけどなあ。

どんどん深みにハマっていく。

そんなとき、とある就職エージェントのサイトにたどり着いた。
（宣伝じゃないので名前は出しませんが）
第二新卒特化型のエージェントで、
履歴書と職務経歴書の作成から、求人の紹介と面接対策まで無料でサポートしてくれるらしい。
（無料なのは企業からの成果報酬が収入源のため）
大手の名前がついているので怪しくないぞ。

そういえば私、職務経歴書とか履歴書とか全く分からないな。
一人で悩むより頼ってみるか…と決意。

3.出来ることが多すぎて困ってるんです

なるべく外出したくないし、
外に出る予定は1日にまとめたい派の私は
バイト前に就職エージェント訪問の予約をした。

新宿のでっかいビルの中に、そのエージェント会社があった。
受付を済ませ、ベンチに座って待つ。
他にも何人か同世代っぽい方がいて、なんだか暗い面持ち。

メンクリの待合室かよ…
と思ったが、そんなことを思う自分の人間性にも嫌気がさした。

数分すると担当の方が来て、名前を呼ばれた。
30代前半くらい？若いお兄さんだ。

人生について思い悩みすぎてほとんど病んでいる私は、
「ちゃんと働いててえらいな…」という気持ちにしかならない。

そして私みたいな社不の担当になって可哀想に…
とまで思っていた。

小さな部屋に通され、エージェントについての説明を受けた。
事前に提出した私の経歴を眺める担当者。

担「学生時代はアイドルを…」

私「はい！！」

担「良かったですね。立派な職歴があるじゃないですか。」

やったー！アイドルって、職歴になるらしい！
しかも立派だってー！！

まあ、そうよね？知ってましたけど？（嬉しい）

担当さん曰く、ここにくる人はバイトも含めて今まで働いたことがない人が多いそう。

その場合、履歴書を作るのは少し大変らしく。
私にアピールできるところがあることが分かり、
心なしかホッとしているようにも見えました。

担当さんが、「アイドルは多くの能力が必要な職業ですよね。」と。
私の経験と長所をかっこよく言い換えてくれました。
例えば…
・大勢の前でパフォーマンスを発揮する度胸
・自己研鑽の意識（諦めずに努力する力）
・愛嬌（笑顔、話し方）
・ファンの名前を覚える記憶力
・初めて会った人と難なく話せる対人能力
・メンバーとのコミュケーション能力
・グループの良さを知ってもらうPR /営業的能力
・SNSの運用経験
など、ぱっと思い出せるだけでもこんなに。

それに加えて私は
・大学経営学部での学習内容（リーダーシップ、マーケティング等）
・高校時代、1年間の留学経験（英検準1級）
・Adobe Illustratorとか使える（デザイン方面）
・アイデア発想とプレゼンが得意で、ビジコンでも優勝経験あり
・ものづくりが好きで衣装作りやアート制作経験もあり

などなど、幅広く得意なことがある。

私はこう言った。

「私、出来ることが多すぎて逆に困ってるんです。」

今考えると、何を生意気な！！と思いますが、
当時は真剣でした。

英語を活かす仕事に就くべきか否か？
自分が一番向いている仕事ってなんだ？
入りたい業界？特にないんだけど。
楽しんで働くイメージができる仕事がいい…
一般企業の営業職？企画職？広報？
いや、もはやWebデザイナーになろうか？
はたまたネイリストになろうか？
洋裁好きだからアイドル衣装を作るのもいいなあ、
でも服飾学校行ったわけでもないしな…

など、選択肢の幅が広すぎて脳が混乱状態。
どんな選択をするのが最善か分からず、途方に暮れていました。

担当さんは、笑っていました。

「特定のやりたい職種がないのであれば、今日話を聞いた内容から英莉さんに合いそうな求人をピックアップして送りますね。」と。
ありがてえ〜〜！

そして履歴書/職務経歴書作成に関しても、
「アピールポイントが多すぎても一つ一つの印象が薄れてしまうので、特に強い部分をいくつか選んで履歴書に書きましょう。そこにいろんな要素を合体させてしまえばいいんです。」
と、至って冷静なアドバイスをくれました。

やっぱりまともな大人に頼るの、めっちゃ大事ですよ。

就職エージェント最高！（まだ就職決まってない）

そこから何回か訪問を重ね、
指導していただきながら
上記の強みをうまい具合にまとめ、
アイドル時代のエピソードも交えた
最強に自分らしい履歴書/職務経歴書が完成したのでした。

私、面倒な文章作成は担当者が全部やってくれるんだろうと思ってたのに結構スパルタで。
私が「うーーーん、この部分、いい感じに書けません！！」
と弱音を吐くと、
「はい、頑張って書きましょうね^^」と優しい担当さんに圧をかけられ(精神的にしばかれ)ながら頑張りました。

行き詰まったら適切なアドバイスをくれて
それでまた頑張るという、
さながら就職予備校。
ありがたすぎる。
この履歴書の出来栄えは自分でもすごく気に入っています。

さて、履歴書問題はクリアしたところで、
次はいよいよ応募する企業選びに突入。

自分はどんな業界で、どんな仕事がしたいのか。

今の自分でも出来そうな仕事を選ぶべきなのか、
少し難しいけど成長できる仕事を選ぶべきなのか。

待遇さえ良ければそれでいいのか、
自分がやりたいことを優先すべきなのか。

最大の壁にぶち当たります。

次回、「就活の軸ってなんですか？」