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北欧の幸せの秘密を探る② デンマークのHYGGEから

前回の記事から引き続き、「なぜ北欧は世界で一番幸せな地域なのか」ということについて、書籍を通して考えています。

今回は、『THE LITTLE BOOK OF HYGGE 365日「シンプルな幸せ」の作り方』(2016/マイク・ヴァイキング著)を通して学んだことをシェアさせていただきます。

***

著者のマイクさんのお仕事は、「みんなを幸せにするものは何か」について研究すること。(なんて素敵なお仕事でしょう♡)
デンマークにある「ハピネス・リサーチ研究所」というところで勤務しているそうです。
デンマークは、ヨーロッパの社会調査機関によると「ヨーロッパで一番幸せな国民」であり、他の様々な調査研究によっても幸せ度ランキングの常にトップクラスにいる国なんだそうです。

ちなみに、2021年の世界幸福度ランキングを検索してみたところ、フィンランドに次ぐ2位でした。このところはフィンランドに首位の座を奪われてはいるようですが、相変わらずトップクラスにあることは間違いないようですね。
【2021年】最新世界幸福度ランキング 日本の順位とその理由は? | ELEMINIST(エレミニスト)

どうしてデンマークがそんなに幸せな国なのか…?
この本では、デンマークでとてもとても大切にされている「HYGGE」(ヒュッゲ)というキーワードをもとにひも解いています。

Photo by Julian Hochgesang on Unsplush

HYGGEとは


HYGGE(ヒュッゲ)は、日本語に訳しづらいのですが、”ほっとした安心感心地よさ”、”周囲から受け入れられた心地よい人間関係”や”満ち足りた心地”、そして”それを創り出している空間”のことを言っているようです。

例えばこの本では、冒頭にこのような例が出てきました。

 ある12月のクリスマス前、私は古びた山小屋で友達と週末を過ごしていました。あたりは一面、雪のじゅうたんを敷き詰めたように、真っ白でキラキラ輝いています。その日はちょうど冬至で、夕方4時にはもう日が沈み、つぎに太陽が出てくるのは17時間後です。
 私たちは火を起こすために山小屋に入りました。
 ハイキングのあとだったので、みんな疲れ切っています。分厚いセーターと毛糸の靴下を身につけ、半分ウトウトしながら暖炉を囲んで座っていました。聞こえてくるのは、シチューが煮える音、薪のパチパチという音、誰かがホットワインをすする音だけ。
 その静寂を破って、友だちのひとりがこう言いました。

「なあ、これ以上のヒュッゲってあるかな?」
 ちょっともったいぶった聞き方です。

「そうね、あるかも」
 ちょっとしてから、女の子が答えました。
「外で嵐が吹き荒れてたら、もっとヒュッゲじゃない?」

みんな、その言葉にうなずきました。

『THE LITTLE BOOK OF HYGGE 365日「シンプルな幸せ」の作り方』
photo by Kelly Sikkema on Unsplash

前半部分にヒュッゲなひと時が描かれていますが、私は、最後の一言、「嵐だったらもっとヒュッゲだわ」という部分に少し戸惑いました。

これについては、本の最後のほうに解説が出てきて、納得しました。
というのも、デンマークの人は、「ヒュッゲ」は、その対比である「ヒュッゲでない」状況を経験しなければ分からないのだという共通認識があるようなのです。

これは”ヒュッゲの本質である”とまで書いてありました。

うーん、すごい。
なので、クリスマスという一年で最もヒュッゲな時を創り出すためならば、様々な苦労も厭わないそうですよ(^^)

前回の記事でも書いたように、デンマークの人もヒュッゲを通して、いかに自分の置かれている状況が幸せであるか(時にはそうでないか)について、毎日、毎時、考え続けているのでしょうね。

実際、ヒュッゲという言葉は毎日出てくるそうですよ!(驚き)

そのことが、「自分は幸せである」と認識することに繋がっているのかもしれません。

ヒュッゲのルール10か条

ヒュッゲをより理解していただくために、ここで本に出てきた「ヒュッゲのルール10カ条」を引用してみます。

1 雰囲気  部屋の明るさは、ほのかに
2 「今」「ここ」  携帯の電源を切って、「今ここ」に集中しましょう
3 お楽しみ  コーヒー、チョコレート、クッキー、ケーキ、キャンディー大好き!
4 公平・平等  「私(Me)」より「私たち(We)」。時間と家事はシェアして
5 感謝  「ありがとう」と言って受け取りましょう
6 調和  勝負や成功をひけらかすのは、かっこ悪い
7 気楽さ  ひと休みして、リラックス
8 平和  波風立てるのはやめましょう。政治の話はまた今度
9 一体感  相手との間にどんな物語がありますか
10 安らぎ  穏やかで不安のない場所を大切に

デンマークに限らずですが、北欧では照明の明かりは明るすぎるのは嫌煙されるそうです。日本に来たら、びっくりするかも(笑)
そして、デンマーク人は家具などインテリアにこだわりがあり、いかにヒュッゲな家具かで選んでいるそうです。

10か条を見て私が笑ったのは、8の「政治の話はまた今度」。日本人と似ていますね(笑) でも、ちょっとそれもまた心配かも…(;^_^A (別の本では、デンマークの人は「議論になることを極端に嫌がる」とありました)

どうしてデンマーク人は幸せなのか?__マイクさんの答え


ヒュッゲを少しだけ理解したところで、著者のマイクさんがどうしてデンマーク人(ひいては北欧)は幸せなのか?という疑問に対しての答えを用意してくださっていたので、私なりに紹介したいと思います。

まず重要な要素、それは「人間関係」です。

幸福に関する研究者の間では、「幸福」と「人間関係」の間には強い相関関係があるということはすでに常識となっているそうです。
(知らなかった…_| ̄|○ 転勤族妻は…涙)

「社会とのつながりが人の幸せの本質である」


世界幸福度調査では以下のように結論づけられてもいます。

「幸福であることの第一条件は、生きていくために必要な生活レベルが保証されていること。そして、生活レベルが満たされると、幸福の形は多様化し、収入よりも人間関係の質に左右される」


良い人間関係を持っている人は、さらに社交的になり、より広い人間関係を作っていくという好循環にもなるそうです。いいなー(笑)

ヒュッゲという概念は、このような良い人間関係を創り出すのにすごく重要な役割をしていることも、感じました。

そして、デンマークでは午後5時になると全員が退社するという、とてもワークライフバランスがとれた社会なのだそう。
それが、人間関係に費やす時間を確保し、良い人間関係の構築に役立っているのだということでした。

photo by justin bhalla on Unsplash


そしてまた重要な要素として、「社会保障制度」を挙げられていました。

デンマークはヨーロッパでもっとも高い税金負担がありますが、それをもとにして充実した社会保障制度が整っています。他の北欧諸国も、社会保障制度が充実していることは有名ですね。
医療や大学費用が無料だったり、失業保険もかなり手厚いため、不安・心配・ストレスが軽減されています。

デンマークは「世界でもっとも不幸な人が少ない国」でもあります。

つまり、”落ちる”不安がないのですね。日本だと、生活保護制度はありますが、そういう状態になったら・・・みたいな風潮もありますし、格差がますます増していて、お金持ちは◎、社会的地位が高いと◎、みたいな価値観が強いです。
でも、デンマークでは、政治家も、医者も、大工も、ショップ店員も、みんなフラットに話をするそうです。大統領が歩いていても見向きもされなかったり(笑)
(ここが日本を含めた資本主義経済社会の価値観との違い)

また、地位や名誉、お金持ちをひけらかすのはタブー。ヒンシュクをかうのだそう。だから、プレゼントに高価なものをあげるのもNG。
格差を見せないのがマナーなんですね!


そしてデンマークは、お互いを疑わない社会であり、安心して暮らしていることがうかがえます。
その有名なエピソードとして、”赤ちゃんがカフェの前にベビーカーごと置かれて、親は店内でコーヒーを飲む”というのがあります。(ほかの本にも出てきました(笑))


よい人間関係」と「手厚い社会保障」。これらに共通して言えることは、安心して生きられるための後ろ盾ということでしょうか。

もしも、困ったことがあれば、誰かが助けてくれるから大丈夫。

そのことが確信できること。
このことが、デンマークの人々を幸せだと思える状態に導いているようですね。


おわりに

長くなりましたが、私にとってはまたまたカルチャーショックな価値観であり、羨ましくも思いましたので、シェアさせていただきました(^^)

社会をいきなり変えるのは難しいので、まずは、ヒュッゲなことをしようと思います♡

キャンドルとあたたかい飲み物、そして甘いものがあれば、ヒュッゲできますよ♪(できればそこに気の合う友人(^^))

photo by Janaya Dasiuk on Unsplush

なんてヒュッゲなんでしょう!(笑)




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