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sannoun
芸の豊かさ
『芸というものは、
あらゆる障害、圧迫、非難、嘲笑を浴びせられてそれを突き抜け、押しやぶり、たたかいながら育つものだ』
山本周五郎の小説『虚空遍歴』
今でこそ『この人の語らいはまさに芸術』
と言われる、とある婦人がいる。
実は、もともと生まれつき口下手だった。
だから、とことん話を聞いた。
そのうち"心の声"まで感じられるようになった。
交通事故で顔に傷を負ったとき、
『笑顔じわ』と言って明るさに磨きをかけた。
夫を病気で失ったとき、
『悩んでる人に一層、同苦できるようになれた』
励ましの対話も続ける中、旧習の壁にぶつかるなど、言葉にできない辛さもずいぶん味わった。
その度に負けずに頑張り抜いた。
だからなのか、
人柄に、芯の強さ、朗らかさがにじむ。
婦人は
『やっぱり苦労したもん勝ち。
だって、
人を励ます心の引き出しが増えるでしょ』と。
腹を据えて、現実と向き合う勇気を持つと、
思ってもみなかった力や知恵が湧く。
ありのままの自分を誇りに。
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