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婦人科との付き合い

前回の投稿で不妊治療にいたるまでを振り返った。追加で思い出したことがあるので記録しておきたい。

すでに書いたようにわたしは生理まわりのトラブルが少ないタイプということもあり、20代半ばまで婦人科にかかったことがなかった。
ある年、夏休みに会社の同僚たちと小笠原の父島への旅を計画したのだが、ちょうど生理がバッティングする日程だったのでピルを処方してもらうために当時住んでいた街の産婦人科を受診したのが初めてだったと思う。

ちょうどその頃から、会社に巡回にくる健康診断のオプションで子宮頸がん検診と乳がん検診を受けるようになっていた。(入社直後はスルーしていた)
今の業者は乳がんはマンモグラフィ+エコー、子宮頸がんは外部の医療機関で受診することになっているが、当時の子宮頸がん検診は自己採取法(自分でキットを膣に入れて細胞をとる)が採用されていたので、正しくできているのか疑問だった。

あるとき、生理とはちがう思いがけない出血があった。少し心配になって、以前ピルをもらいに行ったクリニックを受診し、そのとき初めて内診台に乗った。
内診室に案内されてどうしたらよいのかわからず立ち尽くしていたら、「準備できましたか」「できたら座ってくださいね」と言われ、あぁそうか、この台があれだよなと思った。

診断結果は、おそらく排卵時の出血だろうということ。それから子宮内膜に10mmほどのポリープがあると言われた。
これが大きくなるといろいろの邪魔をして不妊につながる可能性があるので、もし時期がきて試みても妊娠しなかったら切除が必要ですねということだった。
家族に話すと、流産のリスクもあるかもしれないし先に取っておけばと言われた。

このクリニックは予約なしで思い立ったときに受診できることと、夜遅くまで開いていることは魅力だったが、医師が男性なので内診のとき精神的に抵抗感があることや、エコーの器具の入れ方・出し方が自分にはやや乱暴に感じられたので検診を受けるのは嫌だなと思っていた。
その頃には外部医療機関で子宮頸がん検診を受けるように変わっていたので、健保組合の提携先のなかから「女性の医師のみ」にチェックをつけて絞り込み、該当したところで検診を受けた。

ポリープのことがあったのと、看護師の妹から子宮体がん検診も受けたほうがいいと言われたので、自費でその検査を追加した。
ところが、子宮頸部はいいのだが、体部まで器具が入っていかなかったことで(ものすごく痛かった記憶)、検体が十分に採取できていないかもしれず、その場合は判定不可になると言われた。
案の定そのような結果用紙が届いた。いろいろな思いはあったが、結局無駄なお金を払ったまま子宮体がん検診をやり直すこともなく時間だけが過ぎていった。

ポリープのことはずっと引っ掛かっていた。避妊をやめて少し経った頃、もう一度同じクリニックを受診することにした。
妊娠を希望しているが実現していないこと。以前ポリープが不妊の原因になる可能性があると言われ、それが気になっているので取りたいと伝えた。
内診では、ポリープは以前より小さくなっておりこれが不妊の原因とは考えにくいということと、手術をする場合は紹介状を書くと言われた。
実際通うのはやや面倒な距離だったし、受けようと思っていた子宮がん検診も取りやめ、自宅に比較的近くて不妊症を扱っている病院に紹介状を書いてもらうことにした。

仕事を休み、紹介状を握りしめていざその病院に行った。すると、なんとそこでは不妊治療を受け付けていなかった。(以前はあったが不妊専門医がいなくなったということらしい)
一度開封されたのをテープで閉じられた封筒だけが手元に残った。その時わたしは途方に暮れるってこういうことだなと思った。わざわざ休みを取って、紹介状まで持ってきたのに…
ここでも希望していた検診を取りやめ、結局その年は子宮頸がん検診を受けずに終わってしまった。相変わらず子どもを熱望する気持ちも湧いてこないまま、一方では何も解決しないまま時間ばかり無駄にしている気がして虚しかった。

毎年秋口〜年度終わりにかけての仕事の繁忙期も過ぎ、不妊専門のクリニックに電話をかけたのが今年の4月だ。
結局受診は6月まで待たなくてはならなかったが、ついてくれた看護師がとても優しくてありがたかった。
わたしが「もう33歳だし、もう少しはやく来たかったんですけど…」と漏らすと、彼女は「全然。来れるタイミングは人それぞれだから、大丈夫」と言ってくれた。昨年度受けそびれていたがん検診も、「次に検診入れるから市のハガキ持ってきてね」と。
一気に気持ちが解れたわたしは、それから前向きに不妊治療に通い始めた。

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