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映画レビュー「1917 命をかけた伝令」

レビューってほどのものではありません、感想を書きます。第一次大戦の西部戦線、フランスが舞台の全編ワンカット(実際は撮り方とつなぎ方の工夫でワンカットに見せている、ということらしい)の映画がプライムビデオで観られると聞いて『1917』観ました。毎度おなじみコテンラジオきっかけです。

卓抜なカメラワークとBGMで臨場感と緊張感が最高潮に高まり、もうずっと合わせた手を口元に当てた状態で、足が浮いたり肩が上がったり大変でした。戦争映画を見るときはいつもこう・・・。

とくに塹壕戦の様子が理解しやすかった。溝の深さは身長ギリギリ、前線近くでは頭を低くしないと狙撃されるリスクあり。映画冒頭、塹壕から出て地上を行く場面は寿命が縮むかと思うほど、恐い。イギリス軍の塹壕と、ドイツ軍の塹壕のちがいなどもわかるように細かく作られています。ラスト付近の突撃のシーンも知らない人からするとだいぶ衝撃的だと思う。自分だったら突撃したくない、ぜったい無理、敵前逃亡で味方から銃殺される、いやその前に即シェルショックになる、と思う。

別部隊に作戦中止命令を届ける伝令の話で、ストーリーそのものはとっても単純です。ドイツが前線から撤退したのを後ろから追撃して制圧する作戦のためにひとつの大隊が向かっているが、それはドイツの罠で、もし突撃すれば1600人の犠牲が出る。バディの片割れ、トムは兄の命がかかっているという動機からはやる気持ちが抑えられない。一方の主人公ウィルは、はじめ危険な任務に気が進まない。めっちゃ気持ちわかる。

ウィルは激戦だったソンムの戦いを経験しており、人生観というか戦争観というか、分別、冷静さ、そういうものを持っている人だということがところどころで描かれていた。
彼は一人になってから、任務遂行とトムの遺言を届けるために何とか気力を振り絞って最前線の司令部へと急ぐ。狙撃兵に狙われたり、ドイツ兵と揉み合ったり、川に飛び込んだり、それはもう危険なことが次から次へと起こる。唯一、エクーストの街で地下に隠れていたフランス人女性と女の赤ちゃんとのシーンで一息つけましたが、あとはラストシーンまで戦場を走り抜けます。

家族のため、仲間のため、という個人的な動機を掻き立てられて、若者はあんな戦場に立っていたのだなあと思うと本当にやり切れない。けっして美化なんてできないし、讃えることもできない。1914年に戦争が始まったときはすぐ終わるだろうとみんな楽観視していた。1917年にもなれば泥沼の戦争に誰もが嫌気がさしている。そういう空気も端々から伝わってきました。

戦争の映画怖いからあんまりたくさんは見られないけど、なるべく見たほうがいいと思う。100年も経っているとはとても思えないです。100年って意外と最近。
冒頭のシーンとラストシーンが重なるように撮られていて、ものすごくギュッとなりました・・・。

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