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YouTuber『しげ旅』の収益化戦略

YouTuber 頼みでアジアカップ観戦を続けるじぃじですが…
今回は年始に書いたYouTuber収益化に関する次の記事の続編を書きます。

この記事ではパイロット映像の制作に着手する以前に考えなければならないことを自分なりに整理してみたんですが…アジアカップ観戦でお世話になっている『しげ旅』を YouTube の収益化の観点で見ても面白いかな?と思った次第。まぁ、出不精のじぃじが旅番組を制作することはないんですがね😅


まずは『しげ旅』のスタッツから

以前の記事で掲載した表をアップデートし『しげ旅』の登録者数と動画数を追記してみました。

2024/2/3時点でのYouTuberのスタッツ

もう少しで登録者数が40万人ですから、既に YouTuber 専業にシフトできる状態になっているように見受けられます。表の3列目の数字は登録者数を動画数で割った数字で「1動画当たりの獲得登録者数」と定義できます。
この数字が4桁のチャンネルは、いわゆる「企画的にバズったチャンネル」と言えるのだと思うのですが、裏を返せば「バズる企画を連発していかなければならない」ある種の自転車操業のチャンネルとも解釈できます。
そこへ行くと『しげ旅』は、初投稿がコロナ禍前の 2019/09/13 ですから、概ね5年余り経過したロングランのチャンネルで、コンテンツの性質から、流行り廃りには縁のない内容なので、高橋洋一チャンネルなどと同様に映像コンテンツとしては王道の成功例と解釈するべきでしょう。

しかし費用がかさむ海外渡航が前提のチャンネルです。そのあたりどうしてるんでしょうかねぇ?

旅番組の基本フォーマットに倣う映像

還暦過ぎのじぃじには『しげ旅』はテレビ放送の旅番組の基本フォーマットを踏襲した映像コンテンツに見えます。この「旅番組の基本フォーマット」とはかつてTBSで放映された『兼高かおるの世界の旅』によって確立したというのがじぃじの認識です。次の Wikipedia ページを見て欲しいのですが…

この番組は 1959年12月13日から1990年9月30日にかけて30年10か月の間、TBS系列局で毎週日曜日の朝に放送された長寿番組で、放送回数は1586回。全行程は721万kmであり、地球を180周した計算になるそうです。YouTube を検索したところ第2回の次の映像が見つかりました。

この番組、海外旅行が自由化される以前から放映されていた事に注意して欲しいのです。実は、太平洋戦争以降1964年まで日本ではパスポートの発給の厳格化が続いており、留学生など限られた人しか海外旅行ができない状態にありました。また1964年以降、観光を目的とした海外旅行にパスポートが発給されるようになりましたが、1ドル=360円の固定相場制は続いていたので、海外旅行は富裕層に限られた高嶺の花でした。現在のように「お正月はハワイに…」と庶民の海外旅行が定着したのは、1970年代以降のことなんです。

この番組、始まってから10年間は、庶民には事実上不可能だった海外旅行を疑似体験させてくれる貴重な番組として人気を博したのでした。

兼高かおるさんと「世界一周」の旅

この番組を企画した兼高かおるさんについてはこちら…

この方、黒柳徹子さんの5つ上の先輩なんだそうです。彼女がチャンスを掴んだのは1956年に公開された次の映画がキッカケのようで…

この映画は ジュール・ヴェルヌ 原作のSF小説の映画化だったのですが…
当時のスカンジナビア航空が「本当に80日間で世界一周が可能なのか?」を問うコンテストを企画したところ、兼高さんは73時間9分35秒の新記録を達成…

その実績から実現したのが『兼高かおるの世界の旅』の番組でした。
太平洋戦争の敗戦で、すっかり負け犬根性が染み付いてしまった男性を尻目に、自らの企画を海外企業に売り込み、その支援を受けて番組を立ち上げ、旅番組のロールモデルを確立してしまった彼女。当時の日本企業はその存在を無視することはできず、彼女を畏怖と尊敬ない混ぜの「猛女」と呼んだそうです。60年以上前の出来事ですが、彼女は今日の YouTuber の遥かに遠い先達と言えるのではないでしょうか?

『しげ旅』の収益化戦略

『しげ旅』の Shigehiro Oyama 氏が兼高かおるさんを承知しているかは定かではないですが『しげ旅』の映像アーカイブを探してみると、次のように『しげ旅』流の世界一周企画の映像が見つけられます。

兼高さんが編み出した旅番組の基本フォーマットとは「視聴者が行ってみたい場所に代わりに出向いて、その場で得られた驚きや感動を素直に伝える」という極めてシンプルな戦略なように僕には思えますが、そうして得られた映像には、視聴者の「いつか私もその場所に行ってみたい」という願いを引き出す力が宿るのでしょう。それこそが航空会社にとって最強の宣伝行為であることは60年前も今もあまり変わらないように思います。

実際『しげ旅』のカタール編を観ていると、エミレーツ航空のCMを頻繁に目にします。航空会社にとって「広告を出稿する意義のある旅番組」であったことが兼高さんの番組が30年間も続いた理由であり、『しげ旅』はそれをしっかりと踏襲しているように僕には思えるのです。

PS 日本代表はイランに負けちゃいましたねぇ。
   僕のアジアカップ観戦も今夜で終わりです。残念。

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