女の背中
以前はそんなこと思いもしなかったのですが、なんて美しいんだろ、きれいだなって、しみじみ思うのです。
夫婦岩とか三段壁とか、存在自体に言葉を失う風景、それに近いものを感じます。
温泉で。
露天風呂につかりながらの無防備な女の背中に。 (イメージは水戸黄門の由美かおるさん)
ポツリポツリと間隔をあけ、みなどこか遠くをみつめています。
普段は、はりつめているけれど今は許してと言わんばかりな儚げな背中、それでいて凛とした強さも感じます。
女はいろいろあるさ、あるよね~、と勝手に同士を感じ心で握手したり。
しわしわもあるし、まん丸いもあるし、水をもはじくプリンプリンな背中やら、いろんな年代が並ぶ背中空間、ほかでは見れないですよね。 (見れたら怖い)
見ず知らずの背中をみつめ、その人の人生を想像するひとり妄想劇場がちょっぴり楽しくて、露天風呂にはつい長居してしまいます。(怪しさ満載)
コロナ前は、裸のつきあいとかで知らない者同士、言葉をかわす姿を揺れる湯気の中で見るのもよかったのですが、ひとりひとりがポツリンと湯に浸る姿もいいなぁと思います。
みんな静かに羽を休め、傷ついたところをそっと温め、癒すひととき。 時間がきたら飛び立つように湯から上がるんです、ザザザ~と。
久しぶりに、本州最南端の街にきて温泉に入りました、この街に来るのは20年ぶりです。 現実はなんにも変わらないけれど、温泉につかり、まぐろを食べ、自分への土産物にトルコ色の小さなお皿みつけて大事にしようと誓ったりの、しばし逃避する時間。 舅もいたので、視界にはいつも現実が広がってましたが。(寝たきりでしたが、また回復、またって笑)
また、明日から。
または、つよい。
そんな繰り返しで、いこう。
また。