シンデレラタイムはマントヒヒ
レスパイト入院は、まさしくシンデレラタイムでした。
あぁ、馬車よ、永遠にこないで。
舅の世話にほとほと疲れ、ケアマネージャーさんに相談、はじめて降参の旗をあげました。
今までも、同じような気持ちは何億回もありましたが、その度になんとかやり過ごしてきました。でも、辛抱したっていいことなんてない、自分を守るのが大事、誰になにを思われたっていいさと開き直りで、強引に利用したレスパイト入院。
この一週間は、毎晩、近くの温泉へ行き、露天風呂につかり、ただただ、ダラリンとお湯につかり、空を見上げながら、ぐるぐる首をまわしたり、グィっと背伸びしたり、なんちゃってヨガポーズをしたりと、最終間際の人気のない露天風呂をいいことに、最大限自由に使わせてもらいました。
常連さんなのか、毎日同じ時間に集まるご老人の方々から、熱い視線を感じる事がありましたが無愛想な私にさじを投げているような??
が、最終日。
「明日は晴れるね~、じゃお先~」 と、リズミカルに話しかけられてきて、びっくりしました。 慌てて、はい、さようなら~と答えましたが、小さな声だったので聞こえたかどうか。 そんな大人げない私になんだか恥ずかしくなり、チャポンと湯をつかみ、パシャパシャと顔をなでました。 同じ湯につかる素っ裸同士、ちょっとはニッコリしたらよかったかな、どこからきたの?とか質問されたら嫌だしな、まっいっか、これくらいがちょうどよい距離感やん、ええよ、ええよと、またチャポン、パシャパシャ。
だってね、見てはいけないもの感たっぷりなんです。 ゆっさゆっさとプルプルなおしりを持ち歩き、そこまでするかというくらいお股をゴシゴシ洗いながら笑い話をする常連のご老人の方々の姿は、まるでマントヒヒなんですよね。 いやぁ、たくましい、怖いものなんてない、他人の目なんて気にしないをひしひしと感じます。
私も、いつかはすべてを豪快にゴシゴシと洗い流すようになるのかな。 マントヒヒになるのはいやだけど。
シンデレラタイムが終わってもまたこよう。 露天風呂に。 マントヒヒに会いに。
(大内山動物園のホームページより)