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文学/文芸批評

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「普通の眼には見えないもののために心を痛めること」窓ぎわのトットちゃんそしてゲゲゲの謎

12月に入って少し時間ができたので、映画を観てきました。
「窓ぎわのトットちゃん」と「ゲゲゲの謎」。どちらもTLでの評判が良くどんな映画なのか気になっていた。
多くの人が指摘している通り、映画の趣は随分違うけどどちらも反戦というメッセージが軸になっている点は共通していた。戦前~戦中がトットちゃん、戦後がゲゲゲの謎。そして(私の思い込みに過ぎないかもしれないけれど)「眼には見えないもの」を大切にする

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アニメ版「楽しいムーミン一家」感想

アニメ版「楽しいムーミン一家」感想

先日から急に思い立って、アニメ版ムーミン「楽しいムーミン一家」を見始めました。もともとムーミンは好きで小説版を読んでいたのですが、アニメはほとんど見たことがなかったので。思い立って見はじめたら、あまりにも今の私にとっては切実で、ぽろぽろ泣きながら見てしまいました。

例えば、第一話の魔法の帽子に入ったムーミンの姿が変わってしまう話。醜い生き物に変わってしまったムーミンは、必死で自分がムーミントロー

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「何者」についての覚書き・2

さて、学校には、キャリア教育、進路指導、職業教育、さまざまな「何者」化教育がある。このnoteを書いている私は教員であるため、この「何者」化教育に実際に携わる立場なのだが、だからこそ、キャリア教育に強い違和感と、そうは言うものの、現実問題必要なのだという相反する感情を抱いている。

以前、田口ランディの『クリスマスの仕事』(初出、2000年)を教材分析したことがある。この物語は、楽器奏者である「僕

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「何者」についての覚書き

※あまりにも論展開がふわっとしていたので、書き直しました。

本稿のタイトルにあげたのは、ハイキュー最新巻のタイトルだ。全日本男子バレーの監督雲雀田の「今日 敗者の君たちよ 明日は何者になる?」という台詞は、武田先生の「負けは弱さの証明ですか?」(69話)「負けは今の力の認識であっても 弱さの証明ではない」(369話)に並ぶ名台詞である。そして、現在の本誌の展開からは『ハイキュー!!』は、バレーボ

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