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アマゾン炭素クレジット詐欺事件:信頼性と透明性の欠如

🟥 背景

2024年6月、ブラジル連邦警察はアマゾンにおける大規模な炭素クレジットプロジェクトの関係者に対する強制捜査を行い、土地収奪と木材ロンダリングの疑いで逮捕者と資産を押収しました。この事件は、Mongabayが2024年5月に発表した調査報道によって明らかになったもので、REDD+プロジェクトと違法木材取引との関連性が指摘されていました【1】。

🟧 グリーンウォッシング作戦

2024年6月5日、ブラジル連邦警察は、アマゾンで最大級の炭素クレジットプロジェクトのいくつかを推進しているRicardo Stoppe氏のグループを標的にした「グリーンウォッシング作戦」を開始しました【1】。Mongabayの調査によれば、Stoppe氏のグループは違法木材取引に関与している疑いがありました【1】。

🟨 違法な活動の詳細

捜査当局によると、Stoppe氏のグループは、アマゾン南部で10年以上にわたり、土地収奪と木材ロンダリングを行っていました。彼らは、不正な炭素クレジットを販売することで、1億8,000万レアル(3,400万ドル)の利益を得ていました【1】。Stoppe氏は、アマゾンに5つのREDD+プロジェクトを所有しており、その面積は40万ヘクタール(約100万エーカー)に及びます【1】。

🟩 主要な炭素クレジット購入者

Fortaleza Ituxi、Unitor、Evergreenといったプロジェクトの炭素クレジットは、Moss、GOL Airlines、iFood、Itaú、Toshiba、Spotify、Boeingなどの企業が購入していました【1】。

🟦 木材ロンダリングの仕組み

Stoppe氏のグループは、REDD+プロジェクト内で森林経営計画を策定し、そこから合法的に伐採できる木材の量を記載したDOF(森林原産地証明書)を発行していました。しかし、実際には、計画で認められた量よりもはるかに多くの木材を伐採し、その余剰分を使って、他の地域から違法に伐採された木材をロンダリングしていた疑いがあります【1】。

🟫 土地収奪の手口

捜査当局によると、Stoppe氏のグループは、アマゾン南部で50万ヘクタール(120万エーカー)以上の公有地を不正に取得していました。これは、サンパウロ市の3倍の面積に相当します。彼らは、州の土地改革機関などの関係者と共謀し、不正な書類を取得することで、土地収奪を容易にしていた疑いがあります【1】。

🔴 Verraの対応

これらのREDD+プロジェクトは、世界最大の自主的な炭素市場登録機関であるVerraによって認証されていました。Verraは、ブラジル警察の強制捜査を受けて、調査対象となったプロジェクトを一時停止しました【1】。

🟢 引用

「彼らは間違いなく、書類を使って木材をロンダリングしていました。彼らの伐採会社の近くには、カクサラリ先住民の土地があり、そこから常に木材が持ち出されています」(グリーンウォッシング作戦の主任捜査官であるThiago Marrese Scarpellini連邦議員)【1】。

「これは、土地収奪2.0です。従来の土地収奪は、牧草地を作るために森林が伐採されるため、衛星画像ですぐにわかります。しかし、森林が保全されている炭素プロジェクトと、他の場所からの違法木材伐採を組み合わせたことで、この詐欺は何年も見過ごされてきました」(Scarpellini氏)【1】。

🔵 影響

今回の事件は、自主的な炭素市場における透明性と説明責任の欠如を浮き彫りにしました。また、ブラジルで議論が進められている規制された炭素市場の導入に向けた動きを加速させる可能性があります【1】。

🟡 今後の展望

ブラジル当局は、捜査を継続し、事件に関与した疑いのある人物をさらに逮捕する構えです。また、今回の事件を受けて、炭素クレジット市場に対する規制が強化される可能性があります【1】。


出典:

  1. Mongabay. (2024). "Brazil police raid Amazon carbon credit projects exposed by Mongabay". Retrieved from Mongabay.

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