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状況に応じて戦う【清水エスパルス vs ベガルタ仙台】マッチレビュー J1 第19節 23.June.21

こんにちは、El Gran Equipoです。

今回は第19節ベガルタ仙台戦を振り返りたいと思います。
(もう明日次のリーグ戦が待っていますね。。)

ロティーナさんとまずは残留を果たすためにも非常に、非常に重要な一戦でしたが、唯人、ディサロのJ1リーグ初ゴールが飛び出し、3得点で仙台を押し切りました。

3バックを敷いた仙台に対して、前後半で戦い方を変える柔軟さでもって対応したエスパルス。特に前半は押し込まれる展開にはなりましたが、狙いを持った戦いを継続出来ていたと思いました。

それでは行ってみましょう!

1.スタメン

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試合前にはスリーバックの採用も騒がれたエスパルスでしたが、ロティーナさんは4-4-2を選択。

対する仙台はエスパルスにミラーゲームを挑む構えもあったのか、3-4-3の布陣を敷いてきました。
(手倉森さんになってからスリーバックで戦ったことはあったのでしょうか?)

2.薄いエリアを早く突く

試合開始からサイドを起点にうまく攻撃を行うことが出来ていたエスパルス。5バックとなる仙台が、大外のレーンをWB1枚で管理するのに対し、数的優位と作りながら攻撃を展開しました。

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エスパルスのボール保持では、右サイドの中山が、内側に入ったりや少し下がってボールを引き出したりすることで、対応する蜂須賀をつり出します。

このタイミングで蜂須賀の更に外側に原が駆け上がることで、サイドで2対1を作ることが出来ていました。
仙台 氣田はシャドーの位置に入った選手であることもあり、原への対応はどうしても遅れてしまうところ上手く突いた攻撃になっていました。

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ビルドアップの局面では仙台がボールサイドに人を寄せて前に出てくることも多かったため、ここでも相手大外レーンの薄いエリアを狙ったプレス回避を行っていました。

仙台からすれば、エスパルスのSBに対して、WBを当てることでビルドアップに蓋をしたいという思惑があったと思いますが、この場面ではWBの背後に空いたスペースへチアゴを走らせ、一気に局面をひっくり返しました。

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チアゴにボールが入った後のサポートもよく、カルリーニョスがボールを引き取ると、一気にサイドチェンジへ。
先ほどと同様に、中山と原で蜂須賀に対して数的優位を作りました。
右サイドでの原のオーバーラップやサイドチェンジによる展開は何度か見られ、チームとしての狙いがあった部分だと感じました。

3.プレッシングから埋める守備へ

序盤に見せた良い攻撃の背景には、相手スリーバックに対して効果的なプレスをかけることで、ボールを回収することが出来ていました。

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序盤は相手スリーバックに対して、チアゴと両サイドハーフがプレスに出ていくことで、ビルドアップに制限をかけていきました。
これにより、相手に自由に前進させないことも出来ていましたが、プレスに出た背後には相手WBとシャドーに対してエスパルスのSBが1枚という2対1の局面が作られていました。

序盤は相手がロングボールをサイドに蹴ってきたため、片山のパワーで何とか跳ね返すことが出来ていました。
しかし、仙台がWBを高い位置に置き、CBとシャドーの間の中継地点にシャドーを下ろすようになると、ショートパスでの展開がスムーズになり、エスパルスは徐々に対応に苦労し、押し込まれていきます。

そこで、エスパルスは飲水タイムあたりから守備対応に変化を加えました。

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エスパルスのツートップは、相手スリーバックに対してプレスをかけずに、仙台のダブルボランチを消す位置に立ち、一旦構える姿勢を取りました。

CBとWBの中継地点として、カルリーニョスの背後に下りてきていた仙台 加藤に対しては、竹内が飛び出していくことで、WBへの展開を作らせないよう、自由を奪います。
竹内からすれば、ツートップ(ここでは唯人)が相手ボランチへのパスを消してくれるため、自分のポジションを空けて、仙台 加藤の位置まで出ていくことが出来ていたと思います。
また、ここでの宮本のカバーの位置取りもよかったと思います。

逆サイドの中山も相手の次のパスコースを消しながら、プレスにも行ける位置取りを取り続けていました。

このような形で相手にサイドでの優位性を取らせないような守備対応を行っていきましたが、どうしても逆サイドは手薄になるため、前半終盤に蜂須賀に何度かチャンスを作られたことを受け、ロティーナさんは3-4-3へのシステム変更に踏み切りました。

4.ミラーゲームのどこで優位を作るか

後半はお互いに同じシステムとなり、完全にかみ合う形となります。

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お互いにマンマークという感じではなかったと思いますが、ポジションの重なる選手が近くに立つことはどうしても多くなるので、自分の目の前に選手に負けないことは重要になります。
一方で、その中で相手の守備組織の脇や空いたスペースを突くことで、どれだけ優位性を作れるかも重要で、個人的には、エスパルスはこの部分をよくできていたと思います。

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始めてボロノイ図というものを使ってみますが、この図では各選手のパーソナルスペース(ボールを受けた際に自由に使えるスペース)を表すのだそうです(詳しくは本記事最後のリンクをご参照)。

後半の仙台のスリーバックは、自分のポジションから飛び出して守備対応を行わなくなった一方で、ボランチとシャドーは前半に続き、比較的前がかりな位置取りを取ることが多かったように思います。

エスパルスからすれば、相手CBと中盤の間にボールを入れることで相手の守備対応を困らせたいという狙いがあり、ディサロや唯人がそのポジションに入ったり、時には原が入ることで相手を押し込むことが出来ました。

ディサロと唯人のパーソナルスペースが比較的大きくなっているのも注目で、仙台が空けたスペースを見つけてボールを受けることで、前を向くことが出来ていた点が良かったと思います。

唯人は試合を通じて、相手ボランチとシャドーの背後のスペースを狙っており、危険な位置を冷静に把握出来ているのだと思います。

また、CBながら高い位置を取り、中山を押し上げたり、自らシャドーの位置に入るなど、原のこのポジションでの起用には大きな可能性を感じます。

5.仙台には優位を作らせない

一方で、仙台の攻撃に対するエスパルスの守備はまさにこのパーソナルスペースを狭める対応になっていたように思います。

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もちろん局面により変わりますが、仙台のシャドーの氣田と加藤のパーソナルスペースは、ディサロや唯人と比べて小さくなることが多かったように思います。
(この図自体が、僕の選手配置次第で変わるので客観性はないですが…)

そこで欠かせなかったのは、宮本と竹内のダブルボランチによるスライドでした。集中力高く、スペースを消し続けていました。
前半のビルドアップにおけるミスや前向きな展開が少ないなどの批判はありますが、2人とも走行距離12㎞を越えており、立派な働きを見せたと思います。
特に宮本は攻撃参加した原の背後のスペースの管理もきちんと遂行しており、攻撃⇒守備の切り替え時に仙台のカウンターの芽を摘んでいました。

6.柔軟性をもって相手をコントロールする

セットプレーからの失点により苦しい試合になりましたが、システムの柔軟性を備えることで、一つのシステムでは限界のある対応力に幅を持たせ、相手を押し返すことが出来た試合でした。

得点を奪って勝つことが出来たことは素晴らしかったですし、なによりディサロと唯人に得点が生まれたことがすごくうれしい。
これをきっかけにすぐに迎える横浜FC戦も、きちんと叩きたいところです。

こちら、ボロノイ図について勉強させてもらった記事です↓↓


今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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