隙をつく気概の差【清水エスパルス vs 柏レイソル】マッチレビュー J1 第32節 16.October.21
こんにちは、ぐらんえきーぽです。
今回はJ1 第32節 柏レイソル戦を振り返ります。
前節の力強い勝利から2週間が空き、体力面・精神面での休養と次節の準備の時間を十分に取ってから迎えた残留を争う相手との直接対決。
守備の固さをベースに持ちながら、相手の特徴を踏まえた狙いを持った戦いを展開する知将対決にもなりましたが、1点に泣き、厳しい敗戦。
決定的なチャンスは何度も作り、決して負けるような内容ではなかっただけに柏のしたたかさに屈してしまったのは悔しいの一言でした。。
1.スタメン
エスパルスは出場停止となった松岡に代わり竹内が先発。
柏はブラジル人3人を中心に固い選手を揃え、激しい守備からカウンターを狙った戦いを用意していました。
2. 柏の守備の特徴と相手を見た攻撃の展開
柏は中盤の4枚がかなり人を意識して前がかりにポジションを取り、ビルドアップに制限をかける狙いをもって試合に入りました。
サイドバックやボランチを経由したビルドアップに制限をかける狙いはあったものの、エスパルスもうまく相手を見ながら前進することが出来ました。
柏が一見リスクにも見えるほどに、ヒシャルジソンと椎橋は自分の背後にスペースを空けることを気にせずにホナウドと竹内の近くまで出てきてビルドアップをけん制する動きを見せました。
また、両サイドハーフの神谷とサヴィオのポジションの基準はエスパルスの両サイドバック。エスパルスがボールを保持した際に、サイドへボールが渡れば、ボランチと共にプレスをかけて押し込む意図が見られました。
一方で、ツートップのクリスティアーノと武藤のプレス強度はそれほど高くなかったと感じました。
柏はボールを奪えば、ツートップのいずれかがエスパルスのサイドバックの背後へ走りこむ動きを何度も見せ、カウンターのためのエネルギーを蓄えておくようなイメージがあったのかもしれません。
序盤、エスパルスは井林、ヴァウドに権田の3人、徐々にホナウドや竹内のいずれかと井林、ヴァウドの3人で後方でボールを持ち、相手ツートップを外しながら、前進に成功していました。
タイトなマークに合っていたボランチを経由するのではなく、後方から相手最終ラインの背後を狙ったり、高い位置を取った相手中盤の背後に下りた選手を使うなど、相手の位置を見た攻撃が出来ていたように感じました。
前半にあったチアゴの決定機も後方に下りた竹内から相手の背後に長いボールを入れたことがきっかけになりました。
ここでは竹内の位置まで柏 椎橋が飛び出してきており、柏の中盤と最終ラインの間には広大なスペースが生まれていました。
このような状況で、何度も相手の背後を狙い、最終ラインを押し下げた後にその手前のスペースを上手く使うことが出来た良い場面でした。
また、柏は中盤が前に出るため、中盤の背後に空いたスペースをしばしば最終ラインの選手が前にでて消す必要性が生じていました。
左サイドではカルリーニョスが高い位置から下りてボールを引き出す際に柏 大南が食いついてくる場面が何度かありました。
前半の飲水タイム以降、大南の背後に藤本や片山が走りこむ動きが何度か見られ、カルリーニョスの動きを利用する狙いがあったと感じました。
(ただ、大南の対応も良く、簡単には攻略出来ませんでした)
一方の右サイドでは、西澤が相手ボランチの脇に立ち、パスを引き出す工夫が見られており、良い動きだと感じました。
3. 失点場面の振り返りと西澤について
結果的に大きくのしかかってしまった後半の失点。
それ以外では殆どチャンスを作らせていなかった中で、柏に一瞬の隙を突かれる形となってしまいました。
試合後も色々な方の間で考察が繰り広げられたこの場面、何度も見返してみましたが、神谷にボールが渡った時点で守るのは難しかったと感じました。
失点の場面の一つ前からエスパルスの左サイドを押し込まれ、ホナウドが引っ張り出される形になっていました。その後の流れに複数の要所があったと感じました。
①一つ目のスローインが終わった段階でホナウドがクリスティアーノのマークを片山に、もしくは井林がサヴィオを片山に引き渡せれば左に偏り過ぎる位置取りは改善されていました。しかし、実際にはその時間はありませんでした。
②大外まで出たホナウドのところで取り切る、もしくはプレーを切れれば良かったです。ホナウドがボールをかき出したようにも見えたので、うまく繋がればよかったのですが、大南の位置取りが一枚上手でした。
③大南にドリブルで持ち込まれると、井林もサヴィオに抑えられ、アタックに行けない状況であったため、竹内はゴール方向を埋めるカバーのポジションを取りました。
結果的に神谷への横パスのコースを空けてしまうこととなりましたが、守備の優先順位から考えるとより危険な場所を埋める選択が悪かったとは言えないと思いました。
④一方で、西澤は竹内が神谷へのパスコースを消していたため、中央に絞ることもなく、少し浮いた位置に立っていました。しかし、竹内が下がったことで慌てて神谷のところへ戻ることに。
ここが最後のポイントになっていたように思いました。
西澤が神谷の位置まで絞っていたとしても神谷にボールが入った時点で、原の前に下りた武藤がいたため、数的不利な状況であり、依然として難しい対応ではありましたが、振り返ってみると段階的に崩されていった唯一の場面でした。。
この場面において、西澤はチーム全体が左に寄っていた時点で、神谷のところに戻ることが必要であったと思います。
しかし、この試合、守備の局面で西澤が前を窺う場面が多く、そのタスクをこなす中で生まれてしまった位置取りのミスだったようにも思えました。
この試合では、ツートップが前からプレスをかけるというよりも、相手のボランチを消しながら、パスの出所を潰そうとする傾向が強かったように感じました。
相手のボランチはツートップが消しているため、内側に入ってくるサヴィオや神谷はホナウドや竹内がケアするような形になっていました。
西澤は三丸を見つつ、相手のビルドアップにけん制をかける役割を見せると同時に、比較的高い位置を取ることでボールを奪った後に、柏 椎橋の脇でボールを受ける等、起点として良い働きを見せていたと思います。
一方で、高い位置に残っている場面でも左サイドからのクロスに飛び込んでいく場面は少なく、攻守両面で決定的なところでの位置取りにもう少し期待したいと感じました。
4. 河井シフトからのサイド攻撃と中の枚数
失点を喫したことと、竹内の体力的な面もあったためか、久々に河井さんが登場しました。同時に投入された中山と右サイドの攻撃を活性化しました。
河井は原の後ろに入ることで、原を押し上げつつ、中山との三角形を形成し、右サイドに上手く数的優位を作り出しました。
試合を通じて原に徹底してマークをついていた神谷も、徐々に疲れてきていたこともあってか対応に苦慮していたように見えました。
中山は内側に立ちながら、柏 三丸の背後に抜ける動きを見せ、右サイドからクロスでチャンスを創出し、惜しい場面を複数回作り出しました。
また、コロリが入ってからはクロスに3枚入っているような状況が増え、中央での迫力を確保出来たことが良かったと思います。
(チャンスを一つでも押し込むことが出来ればよかったのですが。。)
5. 残留争いの中での川崎戦
相手に一つのチャンスを沈められ、今回も連勝を逃す残念な結果となってしまいました。ここにきて盛り返してきた大分と横浜FCも不気味な存在に感じてしまうほど、順位的にもそわそわとしてくる状況になってきています。
次節の川崎はホームにて0-2で屈した強敵です。
ただ、前回対戦では選手の位置取りを工夫することで、内容的には良いものであったと感じました。
しかしながら、今節のチアゴ、コロリ、西澤のような決定的なチャンスを作るのはとても難しい相手であることも事実です。
大島が復帰するといったいやなニュースも聞こえてきますが、少ないチャンスを仕留め切る気概を持って、アウェイで勝ち点をつかみ取る戦いに期待したいです。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。