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蓋を開ける柔軟さ【清水エスパルス vs ガンバ大阪】マッチレビュー J1 第24節 13.August.21

こんにちは、Gran El Equipoです。

毎度試合から時間が経ってからの投稿ですが、第24節G大阪戦を振り返ります。(苦しいかもですが、記憶を頼りに思い出してもらえれば...)

残留位置の確保、そして更なる順位上昇を目指す両チームにとって負けられない戦いでしたが、最後に笑ったのはG大阪。
エスパルスは前節得たビルドアップの良い感触も持ちつつ、守備でもしぶとく戦いましたが、ゴラッソに泣く、とても悔しい敗戦にとなりました。

前半戦でのベースづくりから、徐々に出来ることを増えているものの、相手を乗り越える柔軟さのようなものが見たかった。そんな試合でした。
それでは行ってみましょう!

1.スタメン

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前節、意欲的な動きを見せた選手を先発に据えたロティーナさん。チーム内の競争にとってもポジティブな起用法に見えます。
一方で、今節も立田はベンチスタート。相手の強力な攻撃陣に対して、守備強度を求めてのヴァウドだったのでしょうか。
対する、G大阪は3-4-2-1で臨みました。3CBとGKを始め、個人の能力はさすがと言える選手が並んでいました。

2.ボールを持てる場所でおびき出す

序盤、G大阪はまるでエスパルスの選手との力関係を見定めるかのように慎重な入りを見せます。
非保持の場面では、5-4-1のような形になり、分厚いブロックを敷いた構える守備を行いました。

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上図のように、エスパルスからすれば両CBのところにプレスがかからないため、序盤は前節から継続したボール保持を行いやすい状態になりました。

G大阪はそれほどプレスをかけないものの、最終ラインは高めに設定し、ポジションを落としてビルドアップに加わる、唯人やチアゴを後ろからガツンと潰す意識を持ってきました。
3CBの対人守備能力はリーグでも高いレベルにあるので、エスパルスの選手が縦パスを受けて、ボールをキープすることは難しかったと感じました。

それでも、ペレイラの脇でボールを受けたヴァウドがボールを持ち出すことで、相手のボランチをひきつけてパスを出し、相手中盤のラインを越えることが出来ていました。

3.固い蓋をいかに開くのか

CBの潰す守備がうまく行くことを確認出来たからか、G大阪は前半飲水タイムの少し前から、シャドーの選手によるプレスを強め始めました。

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G大阪のシャドーに入った矢島と宇佐美は、エスパルスのCBの前に立ち、縦方向のパスを消します。また、その先のパスコースもG大阪のCBが押し上げて潰すべく準備をしています。

パスコースを限定されてしまった中で、CBからSBへとボールを逃がすことになるのですが、ここにはWBが飛び出し、制限をかけてくるため、エスパルスのビルドアップは中々前にボールを運べなくなってしまいました。

それでも松岡の脇に河井が下がったり、それにより空いたスペースに後藤が下りたりと、後方から繋いで前進していこうという意識は高く、ボールを引き取る動きが多く見られました。

しかし、いずれも相手に背中を向けた状態で下がっていくので、後ろ向きの相手を潰す意識を持ったG大阪守備陣に捕まってしまいます。そのため、中々前向きの選手を作れませんでした。

この状況の中で、スペースはどこにあるか。
狙い目は、相手が前向き守備のために押し上げた最終ラインの背後、特に相手守備陣の薄いサイドの背後になると思います。

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前半は2回、井林と権田からサイドにロングボールが入れました。
いずれもうまく繋がりませんでしたが、相手を押し下げるには有効な手段ですし、相手を押し下げれば、今度は中盤にスペースが空くかもしれません。
また、相手のクリアボールを唯人や原が拾うことで一気にボールを前に進めることが出来ます。

相手が最終ラインを上げ、中盤のスペースを消す策を講じた中では、一見ボールを捨てるよう形であっても、背後を突くことで一度相手を広げる柔軟さが見たいと感じた場面でした。

4.サイドを上手く使って崩す

先述の通り、スリーバックの相手に対しては守備陣の薄いサイドを上手く使って攻撃を仕掛けたいところです。
長いボールを織り交ぜた攻撃が少し増えた後半は、サイドからの有効な攻撃が見られました。

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この場面では、河井をアンカーの位置に松岡と唯人で逆三角形を作り、相手ダブルボランチに対して数的優位を作り、うまくボールを落ち着かせ、河井から片山へ正確なロングパスが通ります。
(逆三角形を作れたこともよかったですし、河井さんのサイドチェンジは美しかった)

大外でボールを受けることが出来ると、飛び出したG大阪WBの背後に後藤が抜け出します。
この裏への抜け出しにより、三浦を持ち場から引っ張りだすとそのスペースへ再び片山が飛び出します。

サイドで優位を作ることで、相手守備の薄いスペースを作り、そこに選手が飛び出していくという良い攻撃を見せました。

このような形で作れた決定機をどこかで決めたかったところでした。。

5.持たせるのか持たれるのか

G大阪はボール保持の局面でも可変はせず、基本的に守備時と同じシステムを保ちました。エスパルスからすれば、3CBへのアプローチに終始頭を悩ませることになりました。

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しっかりと幅を取ってボールを持つG大阪の3CBに対しては、いつものチアゴと唯人でのプレスでは人数が足りません。

そこで、サイドハーフを前に出すことで相手のボール保持に制限をかける狙いを見せました。
上図のように西澤が前に出た際には、後方がスライドして原が藤春、ヴァウドが宇佐美と、次のパスの出所を消す作業が求められます。
また、G大阪のボランチは唯人もしくはボランチの片方がケアする必要があります。
この形が作れた際には、相手の前進を抑えることに成功しました。

しかし、後半は疲れもあったのか、中々サイドハーフを押し出すところに迷いがあるように見えました。

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G大阪のビルドアップにおける狙いはエスパルスのボランチ, SB, CBの間にあるスぺースにボールを届けること。
矢島や宇佐美、後半はここにボランチの山本も入ってきて、ボールを受けようとしていました。

片山からすると、どうしてもこのスペースをケアしないといけないので、G大阪のWBへ出ていく判断が難しくなります。
その前にいる後藤からしても、片山がWBまで押し上げてくれないと相手CBまでプレスに出ていけません。

また、前半はスライドを繰り返し、G大阪のボランチを見ていた唯人とチアゴでしたが、G大阪のボランチが高い位置を取り出したことや疲れもあり、少しずつここを外してしまうようになっていました。

結果的に後半は、G大阪が、WBを経由してボランチやシャドーの選手にボールを届け、攻撃を展開する時間が長かったように思います。

失点前にG大阪 山見に中間ポジションを取られてミドルシュートを打たれた場面も同じような状況から生まれたものでした。

中央はきちんと締め、最後のところはやらせなかったと言うことが出来ると思いますが、後半は結構後手に回った印象で、スリーバックの相手に対する守備については修正が必要なようにと感じました。

6.真価が問われる次節

この試合に敗れ、エスパルスは降格圏のチームの足音が聞こえる位置に留まってしまう形となりました。

決定力と言えば片付いてしまうことかもしれませんが、ロティーナさんの言う通り、決定機の回数を増やしていく取り組みが求められるのだと思います。天皇杯で起用が濃厚の新戦力がチームに早く溶け込み、融合することにも期待したいです。

そんな中、迎える次節は今節と同じスリーバックを敷く湘南。
タイプや選手のクオリティは今節と異なりますが、前回対戦の悔しさを晴らすためにも、更なる進化に期待したいです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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