見出し画像

ひたむきに迎え撃つ【清水エスパルス vs 川崎フロンターレ】マッチレビュー J1 第33節 23.October.21

こんにちは、ぐらんえきーぽです。
今回はJ1 第33節 川崎フロンターレ戦を振り返ります。

残留争い真っ只中で迎えた首位との対戦。
攻守両面できちんと準備された戦いを見せ、試合を静かに進めることが出来ましたが、生み出した決定機を確実に仕留めるのはさすが川崎。。

充実した試合内容だっただけに、勝ち点1を持ち帰りたいところでしたが、この敗戦を決して悲観する必要はないと感じました。

1.スタメン

画像1

前回対戦では、片山を登里にぶつけたように、今節は右サイドハーフにコロリを置いて、ミスマッチを狙いました。
対する川崎、選手個々人の能力に疑いの余地はありませんが、その中でも旗手は際立っていました。

2.ゆっくり持って脇を取る

基本的には川崎にボールを保持される試合展開となりましたが、ボールを失うと、即時奪還を目指す相手のプレスを一度かいくぐれば、エスパルスは、ボールをきちんと持つことが出来ました。

そこには、エスパルスは川崎の守備時の特徴をきちんと捉え、相手のプレスに対しても焦らず、自分たちの時間を作りながら前進していこうという意図が見られました。

画像2

川崎は非保持において、積極的にプレスをかけてきました。
前線では、ダミアンと家長がエスパルスの両CBにプレスをかけてきます。

家長は片山へのパスコースを消しながら、エスパルスのビルドアップを追い込んでいき、中継点を作ろうとするホナウドと松岡には脇坂と旗手の両CHがタイトにマークし、ボールを刈り取る狙いを見せていました。
(川崎からしても中盤を潰せないと家長の外切りの効果がなくなる)

これに対してエスパルスは簡単にボールを放り込むのではなく、両CBとGKでボールを持ちながら、相手守備の薄いエリアを窺っていきます。

エスパルスの狙い目は、川崎のアンカー 橘田の両脇のスペースと、家長の背後にあるスペースだったと思います。
ここにボールを入れることが出来れば、相手のプレスをかいくぐり、攻撃の崩しのフェーズに入っていくことが出来ます。

そして、もう一つ逃げ道として用意されていたのが、コロリと登里のミスマッチ。ここにボールを入れることで、パワーの差を生かしてボールを握る策が用意されていました。

川崎の守備に対して、いつものようにボランチを下げることなくビルドアップしていたのは、この試合特有の狙いがあってのものだったと感じました(以下余談です)

画像3

もし、いつも通り、ボランチが1枚下りてビルドアップをしていたら、川崎 家長、マルシーニョが両サイドから外切りでプレスをかけ、ダミアンがもう一人のボランチを消す守備があったかもしれません。
この場合、川崎 両CHが前に出てくることもなく、アンカー脇に与えられるスペースも少なくなり、エスパルスのビルドアップは苦しくなった可能性があります。
このあたりにも戦術的な面白さが見られたと思いました。

3.理詰めで一つずつずらす

上述のように、川崎の守備配置に合わせて、良い立ち位置からボールを保持し、前進していく狙いを見せたエスパルス。
終始ボールを支配したとは言えませんが、ボールを持てば相手を一つずつずらしてクリーンに前進することは出来ていました。

画像4

この場面のエスパルスは、後方でボールを持つと、外切りでプレスに出てきた家長を井林が浮き球で越え、左サイドで浮いた片山にボールを渡します。

ここを一つ外すことによると、中盤から旗手が引っ張り出されます。
片山は下りてきたカルリーニョスに繋げると、自分の脇を取られた橘田が引っ張り出されます。
この動きで空いたホナウドを経由すると、下がってきた川崎 脇坂の脇に下りた藤本にボールを渡しました。

ここで、局面的には右サイドで数的優位が出来ていました。この局面でコロリ、原で登里の背後を取れれば右サイドを崩すことが出来た、惜しい場面でした。。

画像5

後半、西澤が投入された後も、前に出た守備を継続していた川崎をアンカー脇を使いながら、サイドを崩すことに成功していました。
その後の流し込む速いクロスも効果的でした(ファーにいた片山に届いていたら面白かったかもしれません)

谷口、ジェジエウの両CBはさすがの守備を見せ、決定的なチャンスを作ることは出来ませんでしたが、攻撃面でも川崎に対して準備していたことを発揮することは出来ていたと感じました。

個人的には、アンカーの両脇を使う場面は見られたので、左サイドからのクロスがもう少し出せると良かったかなと思いました。
左からのクロスボールをファーサイドに入るコロリに合わせることが出来れば、登里にパワーで競り勝つ場面があったかもしれないなと。。

4.前も後ろも辛抱づよく

守備にも綿密な準備と相当な気合が見られたと思いました。
常にスリーラインはコンパクトに保ち、相手のビルドアップに対しては、前から制限をかけ、ブロックを敷いた際には中央を締める守備を徹底していました

画像6

ビルドアップに対しては、藤本、ホナウド、松岡が相手中盤3枚を捕まえて、中央を経由した組立てに制限をかけました。
川崎は登里が少し低めの位置に下がり、サポート役を担うことが多かったですが、ここにはコロリが窺う姿勢を見せていました。

相手がボールを下げれば、ベンチからはラインアップの指示が頻繁に出ていたようですし、ロティ-ナさんからも”Va!(行け)”と相手へのプレスを促すコーチングが多く聞こえ、チーム全体で川崎にやらせないという気概を感じました。

画像7

ブロックを敷いた状態でも、藤本がいつも以上に中央の守備に参加し、エスパルスのボランチが動かされることにより、瞬間的に空いたスペースを埋める働きを見せていました。

後方のスペースを埋めるべくラインは低めに設定されていましたが、最終ライン、中盤、前線の3つのラインはコンパクトに保たれ、中央に斜めや縦のパスを刺される場面も数えるほどであったと思います。
(その中で、後半開始早々に通された一本の縦パスを仕留められてしまったのは痛かった。。)

画像8

川崎は中央からの崩しに加えて、幅を取ったウイング(主にマルシーニョ)からの攻略を狙ってきました。
幅を取ったウイングでサイドバックを引き出し、サイドバッグとCBの間のスペースに旗手等が走りこむことで、危険なスぺースを攻略していく狙いがありました。
エスパルスもこの狙いへの対策がなされており、ウイングがボールを持てば、サイドバックの内側にサイドハーフがカバーに入り、サイドバックの内側のスペースへのドリブルやパスを制限しました。
加えてボランチも内側に侵入する相手CHを警戒していたので、数回このスペースを破られた場面もありましたが、基本的に抑えることは出来ていましたし、侵入を許しても中央をきちんと固めた状態を維持出来ていました。

結果的に敗れてしまったのは残念ですが、川崎相手に失点を1に抑えたことはチームとしても手ごたえを感じるものだったかもしれません。

5.この試合を糧に出来るか

川崎を相手に、前半は準備していたことをきちんと遂行し、かなり良い形で試合を進めることが出来ました。後半開始早々に隙を突かれて失点してしまうと、少し落ち着きのない展開になったものの、選手交代を交え、再び押し返す場面も見せる等、試合内容としては良いものだったと感じました。

藤本も低い位置に加わることで成立していた守備だと思う反面、あえて言えば、守備⇒攻撃のトランジションの選択肢を増やすことが出来るともっと良かったかもしれません(相手の即時奪還を減らすために)。
その選択肢を作るのは片山だったと思いました。片山の攻撃参加のタイミングは素晴らしく、守備意識の比較的低い家長の後ろを取れていたので、トランジションでもそこを使う狙いがあっても面白かったかもしれません(偉そうにすみません)。

良い試合はしましたが、勝ち点を積み上げられなかったことも事実です。
まだ降格圏にはいないとはいえ、下からの足音は徐々に大きくなっています。

少し長い準備期間を経てのFC東京戦、今節に得た自信と課題を生かして勝ち点をもぎ取ってほしいです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?