見出し画像

攻守にかみ合った3日間の改善【清水エスパルス vs ヴィッセル神戸】 マッチレビュー J1 第9節 11.Apr.21

こんにちは、El Gran Equipoです。
今回は、J1リーグ第9節、アウェイ ヴィッセル神戸戦を振り返りたいと思います。

3連戦の最終戦となった今節、エスパルスは連敗のストップ、神戸はリーグ4連勝をかけた一戦となりました。

エスパルスからすれば前節浦和戦から中3日での試合となりましたが、流石ロティーナさんと言わせるような修正を攻守両面で見せ、試合のほとんど時間をコントロールすることが出来ました。
一方で、追加点をいかに奪うかという点が、課題となりました。

それではいってみましょう!

1.スタメン

画像1

エスパルスは前節からヴァウド、竹内、ディサロが替わり、原、河井、鈴木が入りました。連戦の疲労を考慮したことはもちろんのこと、神戸の裏抜けに対する原のスピード、河井とエウシーニョの連携、鈴木のトップ下での役割等、意図を感じる采配になっていたのではないかと感じました。

対する神戸は、中盤のサンペールが抜け、藤本が先発へ。前節トップで先発した郷家が中盤に入る形となりました。

2.両サイドの扱いを修正してビルドアップに生かす

前節から見違えるように今節はパスが面白いように繋がり、ビルドアップからの前進、そして背後を突いた攻撃が機能しました。
個人的には、ロティーナさんが施した、両サイドのスペースの扱い方への変化が違いをもたらしていたのではないかと思います。

画像2

前節にも見られたように、今節も中村が中盤まで下りてきてビルドアップを助ける形を取ったエスパルス。
最終ラインと中盤で2-3を作り、中盤での数的優位を作ることで中央でボールを受ける仕組みを作っていたように思います。

その中で前節から変わったのは、奥井と中村の位置取りであったように思います。前節は低い位置取りでビルドアップ時に窮屈な形を作ってしまっていた奥井でしたが、今節では思い切ってSHのように高い位置を取り、時に背後を狙う飛び出しを見せていました。
逆サイドの中山も再三背後を狙う動きを見せ、左サイドで組み立て右サイドの背後へ、という形を何度も作っていました。

この背後への狙いにより、どうしても神戸の最終ラインは押し下げられるため、中盤にスペースが出来、ビルドアップに余裕が生まれたように思います。

前節出しどころに困っていた鈴木からも上図の通り、常に複数のパスコースが用意されている状態になり、よりスムーズにパス交換を行うことが出来ていました。

①下りてきた中村を経由して逆サイド、もしくは宮本へレイオフして展開、
②近くの原につけてそこから展開、こぼれ球をトップ下の位置で自由に動く唯人が回収、
③神戸 中坂が中村に食いつけば、奥井に展開する

といった形で相手に的を絞らせない組立が出来、何度もよい形を作ることが出来ました。

3.チームに落ち着きをもたらした89年組

先述した左からの組立だけでなく、この試合ではGK 権田やボランチ河井の89年組もチームに落ち着きをもたらし、最終ラインや右サイドの攻撃において潤滑油となっていました。

画像3

権田は前節よりも更に最終ラインに積極的に関わって、ビルドアップを助けており、鈴木や原が詰まった際の逃げ道になっていました。
そこからのパスにも進化が見えている気がします。

そしてなんと言っても河井さん...!
右サイドはエウシーニョが自由な位置を取ることが多いのですが、エウシーニョが内側に入れば、サイドに流れ、前線に上がれば、その背後のスペースをカバーしと、エウシーニョの強みを引き出す黒子に徹していました。

かと思えば、素晴らしいスルーパスをエウシーニョに通すなど、チームに欠かせない働きを見せていました。
(守備時でも献身的なプレスバックやスライドを見せており魅力は書ききれない。。)

その先輩たちにも負けじと、トップ下の位置で受け手として顔を出し続けた唯人も効いていました。
これまではチアゴが孤立しがちでしたが、チアゴと中盤の間でボールの中継地点となる役割をうまくこなすことが出来ていた点はすごく良かったと思います。

4.チームに推進力をもたらした鈴木唯人

先述のようにトップ下の位置で、後藤やディサロ等と違った強みを見せた唯人ですが、守備でも献身的かつ有効なプレスを見せ、攻守に渡りチームに推進力を与えていたと思います。

画像4

特に相手のGKまでプレスをかけていく大胆さは、相手にとっては相当嫌だったと思いますし、前川のキックがうまく行かない場面を作っていました。

上図の通り、唯人のプレッシングは相手CBから始まるのですが、相手CBからGKにボールを下げさせると、そのCBへのパスコースを消しながらそのままGKに向かっていく点が上手いなと感じました。

パスコースを限定することで、エスパルスの選手は次の展開を読みやすく、狙いやすくなるため、ファーストディフェンダーとして良い働きを見せていたと思います。

残念ながら決めきることが出来なかった前半の決定機もこのプレッシングから生み出されたもので、この頑張りがいずれ報われることを願っています。

5.前線に呼応したプレッシング

先述のように、今節は、唯人を起点として始まるプレッシングに後方の選手たちが連動することで何度も相手のボールを奪うことが出来ていました。

画像5

今節もエスパルスの右サイドで、中山がCBに出ていくことで相手のパスを外回りにさせ、次のパスコースを河井、エウシーニョ、原が埋めていくことでボールを奪うという狙いを持っていたと思います。

ここの連動が良く出来ており、河井や原のところでボールを回収する場面を多く作ることが出来ていました。
また、河井がボールに寄った場合にも、中盤のスペースを宮本と中村がスライドで埋めることで、中央のスペースを使わせないというリスク管理も出来ていたと思います。

一方で、最終盤の失点の場面では、この中央のスペースで縦パスを2回通されてしまっており、ここを締めることはチームとして取り組み続けないといけないところなのかなと感じました。

6.この試合を勝ち切るために

前半は相手にシュートを1本も打たせず、終盤まで攻守に渡り、ゲームをコントロール出来ていたエスパルス。
エウシーニョの得点も素晴らしいカウンターでした。権田の冷静な配給、中山の何とも姿勢のよいドリブル、チアゴのクロス、あそこに入れるエウシーニョとすべてがかみ合いましたね。
(チアゴはFKも蹴れて、そこが知れない…)

それだけにこの試合は勝ち切りたかった。。
得点後、相手が何が何でもと1点を取りに来た我慢の終盤、ここで守り切れるかどうかも重要ですが、この試合では追加点が欲しかった。

最後の局面での冷静さはもちろんのこと、個人的には交代選手の奮起にも期待したいです。
約束事を整理したうえでゲームを進めるロティーナさんのサッカーを、交代選手もきちんと遂行している点は戦術の浸透が感じられますが、やはり交代選手にはゲームを変えるパワーを与えてほしい。
これからもその部分には注目していきたいです。

次節も関西でアウェイ戦。タレント揃いのガンバが相手ですが、調子はまだ上がり切っておらず、ここで叩いておきたいところです。
1週間の準備期間が与えられた次節、ロティーナさんがどんな策を講じるのかも注目ですね!

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?