見出し画像

清水エスパルス マッチレビュー J1第23節(H)サガン鳥栖 -3バッグの感想も含めて- 18.Oct.20

こんにちは、El Gran Equipoです。
試合から1週間以上空いてしまいましたが、J1リーグ第23節 サガン鳥栖戦の振り返りをしたいと思います。
この試合後、次節まで2週間が空き、チームの立て直しが行われるであろうタイミングですので、最後にスリーバックでの戦いについての感想も少し書いてみたいと思います。

失点を出来るだけしないような戦い方を選択し、守備の行い方には少し改善が見られたエスパルス。しかしながら、システムのかみ合わせ上、どうしても薄くなるサイドを相手のサイドバックに使われ、押し込まれる時間がかなり長くなってしまいました。

西澤の正確なキックとヴァウドの上手い位置取りで先制したものの、エスパルスがボールを握れる時間はなく、最後には押し切られた形で失点し、痛み分けとなりました。

それでは、行ってみましょう!

1.スタメン

画像1

3-5-2を継続したエスパルスは、最終ラインには立田の戻ってきたため、ヘナトが中央へ、復帰したソッコはウイングバックへと入りました。
4バッグにする形もあったように思いましたが、ある程度守備を固める意図からの采配だったのかもしれません。

対する鳥栖は4-4-2と形はオーソドックスですが、前線からのプレッシングやサイドの幅を広く使った攻撃が非常に整理されている印象でした。
また、GK 高丘が加わったビルドアップも効果的だったと思います。

2.後ろに重いエスパルスの守備

スタメンの紹介時に、3-5-2と書きましたが、鳥栖の攻撃も効果的だったため、前線からのプレスをかけられず、後ろに押し込まれ5-3-1-1の形になる時間が続きました。

①守備のカタチは若干修正されたが…

画像2

前節、ツートップが横並びになり、相手ボランチを自由にしてしまっていた点は、カルリーニョスが下がり、縦関係になることで改善が見えました。
(前節の記事で詳しく書いています)

これにより相手ダブルボランチの片方をケアし、ドゥトラが相手両センターバックにプレッシャーをかけていくことが狙いだったと推測しますが、ボールを持てる鳥栖 GK 高丘がビルドアップに加わることで、ドゥトラのプレッシャーは無効化されてしまいました。

すると、そこから高い位置を取ったサイドバックにボールを簡単に運ばれてしまいます。
これに対しては、これまでと同様にセンターハーフがプレスをかけるのですが、鳥栖のサイドバックは幅を取っているので、制限がかかるまでに時間がかかってしまいます。

ここで再度後方を使って逆サイドに展開されると、出ていったセンターハーフ(上図では後藤)の空けたスペースを埋める西村、そしてその背後を埋める鈴木のスライド遅れ、サイドを経由して中央を使われる場面が出てしまっていました。
特に鈴木はスライドが出来ていない場面が多く、中央のスペースが少し空いてしまう場面がありました。河井に代わってからはここを埋める意識がされていたように感じました。

少し長くなりましたが、上述のような形でプレスがかからずボールを運ばれる展開となったため、どうしても守備陣が後方に下がってしまう時間が長くなってしまいました。

これは、鳥栖のツートップやサイドハーフがエスパルスのディフェンスラインの背後を強く狙っていたことにも影響されていたかもしれません。

②後藤の守備意識と守備一辺倒になる展開

特に後半には、相手に押し込まれ、両サイドバックにも高い位置を取られてしまうと、エスパルスの中盤も最終ラインに吸収される場面が増えていきました。

画像3

相手サイドバックが高い位置を取った場合でも、エスパルスの守り方は上述の通り、センターハーフが出ていく形を続けていました。
特に後藤は守備意識高くそのタスクを行っていましたが、結果的に最終ラインに6人選手が並ぶ形も見られました。

これだけ人数が揃えば、相手の攻撃を跳ね返すことは出来るのですが、ボールを奪っても、ボールの供給先が限られてしまい、攻撃に転じることが出来ません。
カルリーニョスを経由してボールを前に運ぶ意図も見られましたが、その先の選択肢がドゥトラしかいないため、相手にボールを回収される結果となりました。

3.鳥栖に対応されたビルドアップ

押し込まれ、カウンターも打てないエスパルスでしたが、ゴールキックを繋ぐことには継続して取り組み、何とか攻撃の形を作ろうとしていました。
しかし、そこにも鳥栖のプレッシングが上手くはまってしまいます。

①鳥栖のプレッシングの形

画像4

最終ラインにボールが入ると、上図のように、鳥栖 チアゴ、樋口、小屋松でスリーバックにプレスをかけてきます。
逃げ道として、アンカーとウイングバックを使いたいところですが、アンカーは一つ下がった趙東建、ウイングバックは樋口、小屋松の背中で消され、中々うまく前進することが出来ませんでした。

この形が試合序盤から上手くはまってしまったため、鳥栖は自信をもってプレスをかけてきましたし、エスパルスとしてはボールを奪われ、また守備に転じるという悪循環に陥ってしまいました。

②ボールの逃げ道を作りひっくり返す

このような悪循環は、ボールを上手く繋ぎ、相手の背後を取り、シュートチャンスを作らなければ、中々打破出来ないのだと思います。
下記はただの机上の空論にはなってしまいますが、相手のプレスをひっくり返すための個人的な考えです。

画像5

ポイントはアンカーの脇を使うこと。西村がぴったりとマークにつかれているのであれば、西村が逆に自分の脇を空けて、そこのスペースを味方に使わせるという形があるのではないかと感じました。
(西村が最終ラインに下りても良かったかもしれません)

これは実際に何度か行われていましたが、後藤が下りてきて、ボールを受け、前を向ければ、ウイングバックの背後を突くパスを出すことが出来るかもしれません。

もしくは、トップが下りて、その背後をセンターハーフが飛び出していく形。背後を狙う動きと下りる動きが連動することで、相手のセンターバックにも迷いが生じる可能性があるかと思います。

いずれにしても、試合を通じてボール前に運びだす形が上手く見えなかった点が見ている側からすると物足りなく感じた点だったのだろうと思います。

4.おわりに

チームは5連敗を阻止し、次節まで2週間空くことになりました。この期間で、もう一度立て直しが行われることに期待しつつ、ここまでの連戦を戦った3-5-2での戦い方に対する感想を書いてみたいと思います。

①サイド攻撃に対する守備は難しい

特に4バックの相手に対して、守備の難しさがあったように思います。
何度も書いてきたように、サイドバックにボールが入ったときにセンターハーフが出ていく形では、サイドバックにはプレッシャーがかからず、中央を締める連動性も見られなかったため、効果的な守備を行うまでには至らなかったのかなと思います。
中盤3枚の連携が高まれば、もっとうまく行くのかもしれませんが、個人的には、守備を考えると4-4-2, 4-3-3の形がバランス良くシンプルになるのかなと感じました。

ただ、そもそもモフさんはチーム作りを攻撃を中心に考えており、出場できる選手の中で、攻撃を作れるシステムを採用しているのかもしれません。
(このあたりはサポーターでは分からないので、僕たちは監督、選手をリスペクトして、実際に試合で起こっていることを見て、考えるということになるのだと思います)

②攻撃に関しては配置云々ではないかもしれない

攻撃に関しては、良し悪しは必ずしも相手のシステムに依存していないと感じました。
浦和戦や広島戦のように、選手間でスペースを作り、そのスペースを使っていくという位置取りが出来れば、ボールはスムーズ回せることが出来ていましたし、背後を取る動きが出れば、裏を突くことも出来ていたと思います。
攻撃に関しては、如何に良い時を再現性をもって作りだし続けられるか、ということに尽きるのだろうと思います。
モフさんになって、この点は良くなっていると思いますので、更なる成熟に期待したいです。

上記2つの点と、怪我人も徐々に戻ってきている状況から、次節柏戦では、4-3-3の復活に個人的には期待しています。

マリノスのように個人で突破できる選手は多くありませんが、パスを繋いで前進する形が作れれば、ゴールにも近づけるはず。

チーム全体で取り組んだであろう2週間の成果を期待したいと思います!

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?