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住宅設計者の「家と子育て」 4 夜泣きは隣人に聞こえるか

夜中の泣き声は昼間に比べてかなり大きく感じるものですが、最大の要因は暗騒音(この場合、泣き声以外の環境音)が小さいことだと思います。

夜中に大声で泣かれると、隣にどれくらい聞こえているのだろうかなどが気になり、ただでさえ疲れている時に余計な負担を感じる方もいるかと思い、防音工事の経験を生かして計算してます。

実際に泣き声の音量が昼間と夜で違うのか何度か計測してみたところ(無料アプリなのでさほど正確ではないでしょうが)予想通り特に大きな差はなく、岳の1ヶ月ころの泣き声は口元で70db前後(後に音量はもっと大きくなるのですが、逆に夜泣きが徐々になくなります)でした。

では、この泣き声は隣の家に聞こえているかというと、一般的な鉄筋コンクリート造のマンションの場合は少なくともコンクリート壁の厚さが10cmはあり、泣き声の主な周波数帯と言われる440Hz前後だと少なくとも40db以上(コンクリートの面密度を230kg/m2とした計算では46.4Hz)はカットされます。

そうすると、距離減衰(測定点までの距離が倍になると約6db下がります)は無視すると単純計算で30db程度は伝わるわけですが、これはささやき声程度の音量になります。

また、深夜の寝室であっても空調や時計などの音などが聞こえている場合が多く、暗騒音だけで30dbを超えていることは珍しくありません。

聞こえる音量というのは、対象の音から暗騒音を引いた分ですので、泣き声30dbに対し仮に暗騒音が20dbあると10dbしか聞こえないことになり、これはほとんど気づかないレベルと言えるでしょう。

ですから、仮に隣家の寝室に面した壁の真横で生後間もない赤ちゃんが泣いていてもRC造の場合は隣の方がそれで目が覚めるということは滅多に無いように思えます。

ただ、木造や鉄骨造の場合は造り次第で隣に限らず上の階でも聞こえることもありますが、建築基準法上の界壁の仕様が500Hzで40db以上カットとなっているので、基準が守られている集合住宅であれば気にする必要はないと思われます。

なので、うちはお隣に面する壁にほぼ密着でベッドを置いてました。

とはいえ、精神衛生上どうしても気になるという方は

・ベビーベッドを壁からなるべく離す
・ベッドと壁の間にクッションや布団などを挟む
・ベッドに天蓋や壁を付けたり、レジャーテントのようなもので覆ったりする
・隣家側の壁に布製のタペストリーなどを掛ける

などでそれなりに改善が期待できます。

最初の数ヶ月は親としてはただでさえ体力的にきつい時期なので、余計な心配が少ないに越したことはありません。

泣き声に関しては気にしなくて大丈夫です。(ただ、窓は閉めましょう)

※この記事は2017年に自社ブログに書いた内容に加筆訂正したものです

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