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メモ●安倍政権の7年半を振り返って

先日、新聞記者さんが突然立ち寄ってくださる、との連絡が。
時々、こうやって記者さんが情報収集とか相談に来られるのですが、私にとっても頭の体操になる、楽しい時間です。
今日は何を聴かれるのかな?と気楽に待っていたら、すごく大きな問いをいただきました。
「安倍政権の7年半の女性活躍施策をどう考えたらいいでしょうか?」という、ご相談でした。
なかなかうまく整理してお伝えできませんでしたが、こんなふうに答えました。改めて、文字にしてみたいと思って自分のメモとして投稿します。長くて、面白くもない内容ですが…。
※私が現場で感じてきた主観的な部分が大きいです。どこかで紹介・引用したりする場合は、各自裏をとってくださいー。


【3つの時代の変化】
この7年で、①男女共同参画、②女性活躍、③ジェンダー平等、の3つの時代の変化を感じました。


①男女共同参画の時代
これは、安倍政権発足時の状況。
男女共同参画は、「人権や福祉」の問題であり、男女共同参画センターで働く私は、言葉が悪いですが、「オンナ・こども」、それから行政の人権・福祉セクターが一緒に働く相手でした。
担い手は、リベラルな人たちや団体でした。


②女性活躍の時代
安倍政権が成長戦略として女性活躍施策を推し進めてからの時代の変化(この前兆は民主党政権のときからで、なでしこ〇〇とか、2012年に国際機関から幾度も女性が活躍しない損失について提言を受けたことなどが、この少し前からありました。)。
男女共同参画は、「経済」の問題になりました。私が一緒に働くのは、企業や経済団体、行政の経済・地域振興セクターが多くなりました。それまで男女平等にはどちらかというと消極的な保守層が担い手として入ってきました。
それまでは女性向け事業は男女共同参画セクターや子どもセクターがやっていたのに、いきなり経済セクターで女性向け施策が増えた時期です。
2015年から政府が毎年決定している「女性活躍加速のための重点方針」では、意思決定過程への女性の参画、社会課題を解決する女性リーダーの育成、理系や防衛・治安維持への女性の参画、…などが重点施策として掲げられています。
この頃の私の講演資料を振り返ると、「男女共同参画が女性活躍に取って代わってしまったようだ」「男性たち、経済セクターが男女共同参画の担い手になったことはとてもいいことだが、女性が置いてきぼりにならないようにするために、男女共同参画センターはでばっていく」みたいなことがよく書かれています。
ちなみにこの時期に上野千鶴子さんにこんな質問をしたことがあります。
「最近、男の人とか、経済セクターの人たちが一緒に仕事しよーよって言ってくれるんですが、その波に乗ったほうがいいですか?」と。
すると上野さんは、「乗ってごらんなさい。でも乗る側よりも乗せる側のほうが巧妙だからね。だから、必ず近くにアドバイスをくれる人がいるようにしなさい」と。確か2014年のことだったと記憶しています。


③ジェンダー平等の時代
男女共同参画は「持続可能性」の問題になりました。②にまた①が加わった感じ?この変化のきっかけは、「SDGs」と「#MeToo」だと強く感じています。つまりこの変化は安倍首相のリーダーシップというよりは、世界の動きとの協調という感じでしょうか。
日本が、1980年代に女子差別撤廃条約を批准するために、男女雇用機会均等法を制定したり、国籍法を改正したり、家庭科共修にしたり…としたように、世界の動きの中で、ジェンダー平等の時代の変化があったように感じます。
「女性活躍加速のための重点方針」の書きぶりがまったく変わりました。
「女性活躍のための取組は必要だけれど、女性活躍以前の問題(女性に対する暴力、女性の貧困、非正規雇用、…)もまた取り組まなければならない」とし、「フェアネスの高い社会」と書かれたことが、印象的でした。
ジャーナリストの治部れんげさんにそんなことをお伝えしたときに、「SDGs」はどちらかというと保守層も親和性が高く、「#MeToo」はリベラル層に親和性が高いよね、と教えていただき、なるほどーと思ったものです。
なので、今のジェンダー平等の担い手は、多様というか、これまでの保守/リベラルのどちらか、というのではない人たちがミックスしている印象です。


以上のようなことをお伝えしました。
さて、次の首相のもとではどのような時代の変化があるのでしょうか?
上記のように政治のことを書きましたが、それ以上にインパクトがあったのは、SNSの拡がりにより私たち一人ひとりが発信できるようになった、ということだとも思います。
若い世代のジェンダーへの関心の高さも、とっても希望を感じます。
政治の状況は変わりますし、その責任は果たしてもらわなければなりませんし、私たちも参画したり、監視していく必要があります。
そして一方で私たちができることもたくさんありますよね。世界の人たちとつながって、ジェンダーだけではなくさまざまな問題を解決していく一人でありたいと思います。一緒にそうなりましょうね。

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