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野沢温泉村を散策してきた

rural 2019開催地の麓の温泉街、長野県下高井郡の野沢温泉村をひとりでぶらぶら散策してきたので、その覚え書きです。ruralに関する記事はこちら

この村、実は市区町村名に「温泉」と入っている日本で唯一の村なのだそうで、由緒ある温泉地、そしてまた「野沢菜」発祥の地としても有名。そうとは知らず、わたしは今回たまたま近くへ行くから、せっかくなので温泉にも寄りたいなくらいのノリで行くことになってしまった。本来なら、温泉と周辺のアクティビティ目当ての旅でもいいくらいなのだ。

岡本太郎ゆかりの地

事前に観光協会のサイトとかを見てオッと思っていたのは、ここって生前の岡本太郎さんのゆかりの地なのですね。わたしは太陽の塔に会いに行く程度には岡本作品のファンなので、これはぜひ立ち寄りたいと思っていました。

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村の中心部、観光バスターミナルの対面に観光協会の建物があり、さっそくこのレリーフが出迎えてくれる。スケール感のわからない写真になってしまったけど、屋外に展示されたそこそこ大きいもので、大人の背丈くらいはあった。

そこからしばらく道を下っていくと、立派な村役場が見えてくる。

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役場に何かを訴えかけるようにして、その子は佇んでいる。いい背中。

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岡本太郎「乙女

例のごとくダイナミックな曲線とぽっかり空いた目によって単純化された像は、やはりどこか謎めいてかわいらしく、向かいに腰かけてずーっと眺めてしまった。ちょうど目が合う。

雄大な山々を背景に、妙に馴染んでいるこの子と向かい合っていると、誰もいない広場に突然、シンセサイザーで大音量の『ふるさと』が流れてきてビビった。12時の時報だったみたい。

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街中では、こうして岡本の書「湯」もシンボルとして利用されている。

温泉について

今回はキャンプ泊につき宿への滞在はないので、日帰り温泉を利用しました。案内されている有料日帰り温泉は2か所あって、ひとつはいわゆるスパ銭に近いリラクゼーション施設「野沢温泉スパリーナ」と、もうひとつが「麻釜温泉公園ふるさとの湯」。雰囲気を味わいたかったので後者へ。

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手入れの行き届いた小ぎれいな施設で、入館料は500円。泉質は弱めの硫黄臭のする濁ったお湯で、温度は高めでした。この前日も含めて2度利用したのだけど、内風呂も露天もあって十分に温泉宿気分を満喫することができた。

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そして、この「ふるさとの湯」のほど近くに野沢温泉の源泉「麻釜(あさがま)」がある。ここはいわば草津でいう湯畑のようなところで、基本的に観光客が中に立ち入ることはできないみたい。いかにも熱そうなお湯がボコボコ沸き立っており、おばちゃんが中でなにかの作業をしていた。どうも、地元の人は食材を茹でたりすることなどに利用できるっぽい。

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なかなか雰囲気がありますね。

さて、野沢温泉村にはあわせて13の無料公衆浴場「外湯(そとゆ)」があって、これらを巡る「外湯巡り」も観光のひとつになっています。地図を観ながら街をぶらぶら歩いていると、大小さまざまな外湯に出くわす。たとえばここ「大湯」はこんなに立派な建物だったりする。

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空いてたら入ろうかな、と思って覗いてみると、あいにくこの日日曜日は下足置き場からもういっぱい。中はついたてもなく、即湯舟に繋がっていて、だいぶ混雑しているようだった。

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仕方なく、大湯の向かいにある足湯で雰囲気だけでも味わう。脇ではまた、こうして年季の入った蛇口から次々にお湯が沸いていて、いい感じなんだ。

古くも新しい街並み

越後の山々のふもと、標高800mの斜めの土地に開かれた野沢温泉村は高低差も激しく、ただ散歩しているだけでもけっこうな運動になる。村外れにある役場から、西側をぐるりと回って中心街の麻釜周辺に至る登り道は、途中に川や橋、いくつかの古めかしい温泉宿や地元商店などがあり、なかなかダイナミックに風景が変わっていっておもしろかった。

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「温泉まんぢう」だって。おみやげに買いました。

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野沢温泉村は、かつての熱海のように寂れているわけでも、かといって湯布院のように人工的にデザインされた観光地でもなく、古くからの暮らしを大事にする自然体の温泉街という趣があった。

そして日曜の午後、そこそこ賑わっている。それというのも、観光資源を温泉に頼りきりなのではなく、なんといっても冬はスキーリゾートであり、夏は夏でゲレンデを生かしたアクティビティがいろいろあるから。子供連れの家族や、ruralとは別口で来ているっぽい外国人のグループ、いかついバイクでツーリングに来ている集団もいた。

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美しいネコちゃんがいるなと思ったら、どうもこのおしゃれなお店「なっぱカフェ」さんの看板ネコのようでした。看板に描いてあるんだもの。

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店内、地元の常連さんと思われるグループでいっぱいのところ、ちょうど席が空いていました。せっかくなので、遅いランチにタコライスをいただいた。美味しかったよ。

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これは別のところで見つけた猫。ここは湯気がもくもく出ている人間は立ち入り禁止のゾーンで、悠然とこちらを見つめていた。

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少し脇へ逸れて、丘へ続く階段を上っていくと湯沢神社がある。

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上からの景色はこんな。村が一望できる。

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温泉地ってどこか神秘的なところがありますよね。人の手の届かない、自然と湧いて出るものから恩恵を受けているのだから、当然なのかもしれない。でまた、そうしたものに対する敬意だとかっていうのも、街並みから見えてくる気がした。野沢温泉村、とっても良いところでした。

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