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『サウンド・オブ・ネオサイタマ・シティ Vol.1』

2024年6月23日、R-9名義で7曲入りオリジナル音楽作品『サウンド・オブ・ネオサイタマ・シティ(Sound of Neo-Saitama City) Vol.1』を配信リリースしました。本作はブラッドレー・ボンド&フィリップ・ニンジャ・モーゼズ両氏、本兌有&杉ライカ両氏(ダイハードテイルズ)による小説作品『ニンジャスレイヤー』シリーズの世界観に基づく、非公式のオリジナル・イメージ・サウンドトラックです。

ビニール傘越しに見る雑踏、鉄パイプの入り組んだ地下道、廃墟と化した港湾施設、IRC電子空間、深夜の高速道路――ネオサイタマ各所の「風景」をモチーフにして、エレクトロ、ブレイクビーツ、ローファイヒップホップ、ハウス、ドラムンベースなど、多様なジャンルを用いて表現した書き下ろしのインスト背景音楽集です。

本作に収録された7曲すべてにクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CC BY)を適用します。出典クレジットを表記していただく限り、商用・非商用を問わず、編集や改変を経た動画配信やゲームBGMなどへの利用に制限はありません。ライセンスの詳細は下記をご確認ください。
https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/

全曲について、イントロ/アウトロをカットしたループ再生用WAVファイルを用意しています。1曲ループ再生可能な音楽プレイヤー・配信ソフトや、波形編集ソフトで自由に長さを調整してご利用いただけます。

この記事では、アルバームアートワークや各種ダウンロードリンク、楽曲解説を含むライナーノーツ、FAQをまとめました。


⬇️ダウンロードリンク

Bandcamp

Bandcampのアルバムページはこちらです。Webブラウザから全曲がフル試聴可能で、最も使い勝手がいいと思います。下記の埋め込みリンクから再生ボタンを押していただくか、Bandcampページより無料で購入手続きを行っていただくことによりmp3ファイルのダウンロードもできます。

mp3フルアルバム

公式のmp3のダウンロードリンクは下記です。アルバムを直接入手したい方はこちらから。mp3形式の全曲と、アルバムアートワーク両面を収録しています。

https://www.epxstudio.com/music/R-9_-_Sound_of_Neo-Saitama_City_Vol.1.zip [94MB]

hosted by EPX studio

ダウンロード後、zipファイルを解凍してください。個人サーバーでホストしているため、もしダウンロードできないなどの不具合があった場合は、この記事のコメントなどでご報告ください。

ループ再生用WAVファイル

このフォルダーには、イントロ/アウトロをカットしたループ再生用WAVファイルを収録しています。1曲ループ再生可能な音楽プレイヤーおよび配信ソフトでの利用や、編集して自由に長さを調整していただくことを想定しています。同じくzip圧縮しています。

https://www.epxstudio.com/music/R-9_-Sound_of_Neo-Saitama_City_Vol.1[WAV_Loops].zip [242MB]

hosted by EPX studio

🖋️ライナーノーツ

本作は、2024年6月23日開催の『ニンジャスレイヤー』の二次創作ファンイベント「ニンジャオン4」へのサークル参加に合わせて企画・制作されました。

当サークル(個人サークル「鏡像フーガ」)ではこれまでにも、ニンジャスレイヤーのファンイベントでのDJ、あるいは特定キャラをイメージしたDJミックス作品などを発表してきましたが、こういった形で完全オリジナル楽曲を制作するのは、10年余りのファン活動においても初めての試みです。

もともと今年は、なにか散歩しながら気軽にBGMとして聴けるような、ゆったりしたテンションの作品集を作ってみたいなと思っていました。それならば漠然とBGMとして作るよりも、長年親しんだ『ニンジャスレイヤー』の世界、それも語り尽くせない魅力の詰まった近未来都市「ネオサイタマ」をモチーフにしたものであれば、いろんな側面から無限に曲を書くことができるのではないかと思いついたのが始まりです。

また近年は個人的に動画配信文化に親しむことも多くなり、その界隈における「フリー音源需要」の高まりのことも気になっていました。せっかくなら、作った音楽を配信などに自由に使ってもらえるように、いわゆるフリー音源として発表すればいいのでは? わたしは根っこがソングライターではなくビートメイカーなので、むしろ、メロディを主張せずぼんやり雰囲気として聞き流せるような背景音楽は得意分野かもしれない。

そうしたことをきっかけに制作を始めたのが4月初旬ごろ。完成までに要した期間は概ね2か月半というところですが、まったく稼働していない期間がひと月以上あったため、ギュッとすると2~3週間だと思います。6月に入った段階の進捗では、プレビュー版として数曲デモを公開できる程度用意できればいいかなと思っていたのが、作業を再開したとたん急にエンジンがかかり、なぜか7曲一気に完成に漕ぎつけたという経緯です。

実際、制作にはさほどの難航はありませんでした。なにしろ、わたしには原作の読み込みを通して積み上がったネオサイタマの強固なビジュアルイメージがあって、そのどこを切り取ってもいいのだから、アイデアのリソースは十分にある。こういう場所で、こういう場面で…というキーワードを取っ掛かりにひとつひとつの音を作り込んだり、パーツを並べて組み上げたり、あるいは音響を追い込んでいくのは、新鮮で楽しい作曲プロセスでした。

『ニンジャスレイヤー』のネオサイタマと聞いて多くの方が思い描くのは、漫画版やアニメ版で登場するような模範的近未来サイバーパンク都市だと思います。アニメの劇伴では、加えて日本が舞台であることから「和」をイメージするような楽器やフレーズがたくさん使われていましたよね。

ただ、原作の最新の連載では既に漫画やアニメの時系列から10年以上が経過しており、その中のネオサイタマは様々な理由から、文化の多様化・国際化が進み、テクノロジーも大きく進歩しています(新素材「エメツ」を中心とする技術開発や、自我のあるオイランドロイドの台頭など)。そのため、本作では別段、既存の劇伴のイメージに固執することなく、自由な発想でよりモダンな音楽スタイルを、言い換えればわたし個人がいま興味のある音楽を貪欲に取り込んで作ってみようと考えました。

全体として、これまでに作ったことのないBPMや曲調の作品ばかりになり、こういう音楽も作れたんだな…という発見と、一方で、どう作ってもこういう感じになるな…という再認識が、どちらもありました。自分のメインの音楽スタイルからは少し外れています。いずれにせよ、折角こうした機会で、こうしたコンセプトでないと生まれ得なかった音楽たちばかりなので、他の誰かにも楽しんでもらえたらうれしい。

『ニンジャスレイヤー』は現在、ファン有志の手によって韓国語版、中国語版もほぼリアルタイム翻訳されており、海外の読者(ニンジャヘッズ)によるファンアートなども盛んに投稿されています。今回のように言葉を必要としない「音楽によるファン活動」が、垣根を越えて同じニンジャヘッズへ届くとしたら尚うれしいです。

1.ビュー・スルー・マイ・プラスティック・アンブレラ

"View Through My Plastic Umbrella"
#rain #calm #lo-fi #cajon [100bpm 4/4]

プロジェクトを始めて一番最初に作った曲。Ableton Live 12で追加されたMeldというシンセサイザーのなかに、"Rain"という、雨音をモチーフにしたオシレーター波形があったことをヒントに作り始めました。

オシレーターAで雨音、Bで風の音をシミュレートしている

パーカッション(カホン)のサンプルは、自分で叩いた生音をレコーディングして使っています。今回の作品では全曲とも「偶然性」に起因する揺らぎのグルーヴを重視していて、シーケンサーのchanceパラメーターやランダムLFOを使って、同じように聞こえる繰り返しのなかでも「鳴ったり鳴らなかったりする音」の仕掛けをたくさん入れました。

派手でなくていい、和風にしなくていい、暖かいサウンドにしたい、といった初期のコンセプトはこの曲のときには固まっていて、ここを基準に、他の曲もなるべくここからブレないように作っていきました。

2.ザ・ヌードル・スタンド・オールドスクール

"The Noodle Stand Oldschool"
#retro #cyberpunk #rave #dirty #breakbeats [124bpm 4/4]

ニンジャスレイヤーが、「二つで十分ですよ」みたいなサイバーパンク記号を何度も擦る作品なので、『ブレードランナー』のベースラインは絶対使いたいと思って入れました。モチーフをそのまま使うのではなく、ちょっとずつ変えるような形で、今後も入れていきたい。中盤ではデス・テクノばりのオケヒットで、大好きなMaximizorネタも入れています。全体としてレトロで懐かしい、古き良きサイバーパンクテイストをこの一曲にまとめました。

3.スモーキー・ダウンステアーズ

"Smokey Downstairs"
#dark #concrete #subway #electro #dub [100bpm 4/4]

「ゼロ・トレラント・サンスイ」の地下鉄から、バイオスモトリ徘徊するツキジ・ダンジョン、最新シリーズのキタノ・スクエアビル地下街に至るまで、ネオサイタマではたびたび印象的な地下のシーンが登場します。謎めいた地下空間へ誘う、怪しげな階段とその空気をイメージして作りました。

普段街を歩いていても、どこかで鳴り響く金属音どうしが重なり合って、繰り返しのリズムパターンのように聞こえるのが好きで、そうした音をサンプラーでひとつずつ微妙にピッチを変えたりして並べています。

4.チャット・アンダー・ザ・ヘキサヘドロン

"Chat Under The Hexahedron"
#chat #irc #cyberspace #chill #swing [106bpm 4/4]

物理的な視界とはまた別の形の、LAN直結やIRCで繋がる電子的ネットワークの"風景"のなかで、複数のアカウントがお喋りしている感じのBGMです。上空には黄金立方体。

ピコピコしている音はフリーのバーチャル・モジュラーシンセ「Cardinal」で作りました。大好きなピアソラの『革命家』という曲のなかにバンドネオンとピアノの"会話"の場面があって、そうしたアイデアも念頭にあります。この曲はだいたいちょうど3分で終わるので、カップ麺のタイマー代わりなどにもいいんじゃないでしょうか。

5.コースタル・ネオン・ブルー

"Coastal Neon Blue"
#harbor #bayside #deep #drum'n'bass [170bpm 4/4]

コンテナ積み上がる夜間の港湾施設、秘密の取引に使われるようなエリアをイメージして作りました。一見誰もいないようだけれど、急に物陰から人が現れてもおかしくないような静と動の緊張感。ドラムンベースは昔から好きで、曲を作ったりもしていたのですが、ちゃんと発表できるものとして形にしたのは今回が初めてかもしれない。

6.レペティティヴ・トラフィック・サインズ

"Repetitive Traffic Signs"
#midnight #highway #hypnotic #3x4 #breakbeats [100bpm 3/4]

深夜のハイウェイ。決まったパターンで繰り返す道路標識やLEDが眠気を誘うような、催眠的ブレイクビーツです。いつまでも繰り返し聴いていられるような「強度のある」ミニマルなループの追求は自分の音楽のテーマでもあって、そういう観点からもダンスの恍惚と催眠(あるいは"寝落ち")の間には深い共通点があると感じています。

7.ウィー・アー・ジ・アーケード・ワンダラーズ

"We Are The Arcade Wanderers"
#gamecenter #arcadegame #bleep #house [116bpm 4/4]

明るいゲームセンターのイメージ。当初、本作は6曲を収録する予定だったのですが、気晴らしのおまけとして最後に手を付け始めたこの曲が一番早く仕上がりました。

治安の悪いネオサイタマにおいて、意外にもゲームセンターは、ギンイチくんやコミタくんのような男の子も比較的安全に楽しめる空間として描かれています。むしろ、そうしたナードに逆に自信と勇気を与えてくれる空間としても。ネオサイタマには陰気で物騒な風景ばかりでなく、明るく楽しい場所もあるよというイメージで作りました。中盤のピコピコ音もサンプリングでなく、ひとつひとつ作ってMIDIパッドを叩いています。

🔰FAQ(よくある質問)

無料なの?

無料です。

著作権フリーなの?

クレジットを表記していただくことを条件に、配信や動画での利用、ゲームやアプリなどのBGMとしての利用、イベントなどにおけるBGMとしての利用を、特に権利者(わたし)の許可なく行っていただくことができます。収益化・商用OKです。クレジット表記の書式は自由です。

著作者人格権は放棄していません。また本作の音源単体、あるいは全体を有料で販売することはできません。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスには種類があり、CC BYはその中で最も制限が緩いものです。詳しくは公式の「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは」をご参照ください。

本作は『ニンジャスレイヤー』の世界観の影響を受けて制作したもののため、ニンジャスレイヤーTRPG、TCG、朗読、作品鑑賞のBGMなどにおすすめできます。もちろん、特に『ニンジャスレイヤー』に関係しない場面でも、合いそうな機会があればどんどんご活用いただけるとうれしいです。

二次創作なの?

はい。『ニンジャスレイヤー』の世界をモチーフにした、非公式のオリジナル・イメージ・サウンドトラックです。公式のガイドライン(「ニンジャスレイヤーなどの二次創作活動やファンイベントに関するガイドライン」)に沿って制作しています。また、原作とその派生作品(アニメ、オーディオドラマ、ゲームなど)のBGMや音声などをサンプリング素材などとして使用していません。

物理CDはないの?

今回は電子版(ダウンロード配信)でのリリースです。

(任意の曲調)みたいな曲がほしい

今後、『Vol.2』以降のアイデアに繋がることがありますので、コメントなどでニーズを教えていただけると嬉しいです。作れそうなら作ってみたいと思います。もしくは、個人的に制作をご依頼ください!

投げ銭したい

ありがとうございます! このnote記事にサポートいただく形でもかまいませんし、Bandcampのname your priceを使って任意の金額でご購入いただく形でもありがたいです。最終的に、どちらもプラットフォーム手数料を差し引いた額がPayPalアカウントに振り込まれる流れになっています。無論、金銭でなくご感想やSNSシェアだけでも十分です。

ここまでお読みいただきありがとうございました。


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