![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/139286414/rectangle_large_type_2_1eb4c193796eeaccad2a9cc83c7beb89.png?width=1200)
ヴィジット(2015)
あちこちで紹介されてかなり擦られているが、
私の好きな要素全部盛りみたいな映画だ。
3回は観たかな。アマプラで有料レンタルなのが憎い。
面白いという口コミを鵜呑みにして、こういう系の耐性ない人が気軽に観ると
けっこう不快な体験をすると思う。それがいいんだけど。
シャマランの作品の中でもホラー寄りの作品。
<ざっくりあらすじ>
舞台はアメリカ。姉弟はペンシルバニア州に住む祖父母の家を訪ねる。楽しい一週間をを過ごす予定だったが、祖父母の異様な行動が目につくようになり、二人は徐々に恐怖を感じていく…
<感想>
※以下軽くネタバレを含みます※
まず始めに、一応どんでん返し系作品なのだが、そのどんでん返しが最重要という訳ではない。同じ監督の「僕、死んだ人が見えるんだ」少年の映画ほどネタバレ厳禁ではない気がする。なぜなら途中で繰り広げられる奇行&奇行が素晴らしく、ジャンプスケアも上手に取り入れられているので十分に楽しめてしまうからだ。
むしろオチのインパクトはやや弱まってしまっており「あぁ。なるほど」くらいだ。実は母親もグルで子供を始末してほしくてわざと送り込んでおり、助けに来てはくれない、くらいの胸糞展開があったら「おう…」となるかもしれないが。
それにしてもこの映画に出てくる老婆の裸体、吐瀉物、全力ダッシュ、壁ガリガリなど、どれも不快指数MAXの映像で怖いというより気色悪い。
見応えは十分だ。
老婆役の女優さん体張りすぎなのだが、私が映画監督だったら上記に加えて壁や天井を這わせ、包丁で指を刻むシーンも追加してしまうかもしれない。そして姉弟は生還させない(やだな冗談ですよ)
もちろん見どころは奇行だけではない。
お姉ちゃんがドキュメンタリー映画を作成するためにビデオを回しているという設定が絶妙だ。全面POVだと飽きが来るし、走って逃げるシーンでいつも酔うのだが、部分的に取り入れることでPOVの利点だけを採用している。大きな音で驚かすシーンと、一瞬変なものが映る「今の何?」系怖さのバランスもちょうど良い。
この姉弟の両親は離婚しており母子家庭なのだが、父親のいない寂しさを完全に克服しているわけではない。言い争いをしながら、お互いの心の傷について向き合う流れがリアルでとても良い。あまり話の本筋とは関係ないようで、実はこのエピソードが映画に深みを持たせている。弟くんの潔癖症も明らかにそういったストレスから発症しているし、病気を爺に最悪な形で利用されてしまったが、伏線を無駄にしないところが素晴らしいと思う。こういう部分がなければ、ただのあたおか祖父母に追いかけ回される安っぽいパニック映画になり、姉弟に感情移入できなくなる。
エンドクレジットでは弟くん渾身のラップが披露されるのだが、映画全体を中和してくれるし、終盤であんな目にあったのに元気そうで、毎回ほっと安堵してしまう自分がいる。後ろで「やれやれ」って雰囲気でメイクしているお姉ちゃんもまた、めちゃくちゃ姉っぽくて良いのである。
アマプラで400円払う価値のある映画だ。
ぜひ観てみてほしい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?