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続おれとこなちゃん

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短期集中連載。 2012年末に刊行した『おれとこなちゃん https://note.com/epix/m/mf57ff7bf9d70 』の続編です
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目次 続おれとこなちゃん

続おれとこなちゃん(序) 続おれとこなちゃん(1) 続おれとこなちゃん(2) 続おれとこなちゃん(3) 続おれとこなちゃん(4)完

続おれとこなちゃん(4)完

連載打ち切りのお知らせ 想定していたよりも「おれは柊つかさである」という設定が膨らまなかった。前回の第3話をもって打ち切りとする。電子書籍化は無し。見通しが甘かった。 おまけ 構想メモ テレビアニメ版『らき☆すた』をあらためて視聴したときの覚え書きを残しておく。このメモを作っているときは楽しかったのだが……。 第05話「名射手」・高校2年の夏休み。夏祭りの回。 ・ゆい姉さん初登場。 ・つかさの顔に付いた「わたあめ」を、かがみが取ってあげる1コマがあるが、それを見たこなちゃ

続おれとこなちゃん(3)

こなちゃんの恥じらい おれは柊つかさである。  放課後の帰り道。おれとお姉ちゃんとこなちゃんは電車に乗り込んだ。車両内の空気が蒸れていた。おれたちは部活に属していないので、帰宅ラッシュの時間には早すぎる。ラッシュ時のような満員でもないのに冷房の効きがよくなかった。学校では夏服に変わったばかりで、季節の変わり目なので、まだ温度調整がこなれていないのかもしれない。  車両内が蒸していると、制服のなかも蒸れてくる。やがて全身が汗ばんできた。  お姉ちゃんはハンカチで浮いた汗を拭う。

続おれとこなちゃん(2)

こなちゃんの学力 おれは柊つかさである。  おれは、こなちゃんに親しみを感じる。人柄が好きだったり、おしゃべりすると楽しかったり──というのもあるけど、それより何よりも学力の程度がおれと同じくらいだと思えて、安心してつきあえるからだ。  こなちゃんはゲームや漫画やアニメについてはとても物知りだ。頭の回転も早い。確かに、こなちゃんは「地頭」は良いと思う。でも、学校の勉強に関していえば、それほどでもない。  こなちゃんは勉強が好きじゃない。そういうところもおれと気が合う。おれも

続おれとこなちゃん(1)

こなちゃんの食べ方  おれは柊つかさである。  陵桜学園高等学校の2年E組に所属している。  こなちゃんも同じクラスである。  こなちゃんとおれは仲が良いので、おれは椅子をこなちゃんの机のそばに移動して、持参した弁当を広げて、こなちゃんと昼食を共にする。  ある日のこなちゃんの昼食。チョココロネがひとつ。飲みものは瓶に入った牛乳である。小さい菓子パンと200ミリリットル程度の牛乳。こなちゃんは小柄なので胃も小さいのだろう。かわいい。  こなちゃんと昼飯を食べているとき、食

続おれとこなちゃん(序)

はじめに おれは柊つかさなのかもしれない。  なぜなら、おれは泉こなたのことを「こなちゃん」と呼称してやまないからだ。  泉こなたのことを「こなちゃん」と呼ぶ者は柊つかさに限られている。  こなちゃんに「こなちゃん」と呼びかける者は、柊つかさ以外にはこの世に存在しない。  つまり、泉こなたのことを指して「こなちゃん」と呼称する者は世界に一人だけである。  おれは泉こなたのことを指して「こなちゃん」と呼称する。  だから、おれは柊つかさなのである。  発見と自覚。  それは