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【749回】猪谷千香「小さなまちの奇跡の図書館」を読んだ

図書館や読書、読み聞かせに関係する本を求めていた。
猪谷千香「小さなまちの奇跡の図書館」(ちくまプリマー新書、2023)を手に取った。

舞台は鹿児島県薩摩半島南部にある指宿市。僕は、小学生時代の半分を福岡県、もう半分を大阪府で過ごした。指宿は福岡県からは離れているが、2,3回訪問した。指宿といえば、砂湯、温泉のイメージである。

「指宿と図書館?」という組み合わせに、興味を惹かれた。結局、2時間半かけて一気に読むことに。

指定管理制度により、地域の人たちで図書館を経営しよう!と名乗りを上げた女性たちが、「そらまめの会」としてNPO法人を設立した。図書館運営の経験がない中、手探りで運営を始めて、15年経過した。

その中で色々な、活動が行われた。

電算化(蔵書検索実用化)、子どもたちに来てもらう居場所としての図書館づくり、お話し会など積極的な外部活動、サツマイモつくりなど地域文化との連続性、とことん共に探す(レファレンス)など利用者と寄り添う姿勢、入院時の朗読からの病室文庫、移動図書館の復活(走るブックカフェ)。これが「小さなまちの図書館に誕生した奇跡の一部」だ。

本を読む機会の平等を求めて、そして地域の人をつなげる居場所のひとつとして、図書館を運営していく。強い使命が、「これをやってみよう」という様々な活動につながる。

確かに、図書館は税金で運営されている。指宿市の図書館であれば、指宿市に居住する人々が本を読む機会を提供する。しかし、その機会には不平等が生まれることもある。図書館は通常、街の中心部に位置しており、図書館から離れた場所に住む人にとってはアクセスが難しいことがある。そのため、本を読む機会を平等に近づけるために、図書館が地域の人に向けて動く取り組みが必要となる。それが、病室の図書であり、移動ブックカフェなのだ。

ただし、職員の給与については疑問が残る。本の最後には、指定管理者制度の見直しの必要性も示唆されている。職員の給与は厳しい状況かもしれないが、職員の熱意と地域の人々の図書館に対する支持があるため、運営が継続できているのかもしれない。

おっと失望感が急に増してきた。そんな気持ちになるために読んだんじゃない。例えば車に本を積んで、勝手に公園で広げていてもいいんだ。何がしたいかなんだよ。

僕は、本が大好きで、本と共に生きてきた。だから、本が生きる力になると信じている。読み聞かせをしたいよ。朗読もしたいね。ただ本を手に取って佇んでもらう場所があるといいね。簡単なパンやマフィンくらいなら作れるよ。コーヒーはインスタントになるけどね。

などと、想像する。
僕と本の関係を、仕事に生かしたいなあ、なんてことを考える。