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【720回】渡部陽一「晴れ、そしてミサイル」

冒頭に収められた写真が数枚。
笑顔の人たち、整ったショッピングモール、車が行き交う交差点。
交差点の写真を見てみる。天気は、晴れ。
気持ちのいい晴れの一日だったのかもしれない。

戦場カメラマン渡部陽一
「晴れ、そしてミサイル」を開く。

この後は、本のタイトルの通りだ。
笑顔は、どうなったか。
ショッピングモールは?車は?
そして、また晴れの日は続いているのだろう。

読み終えて、一息つく。

日本が決して、戦争の日常に踏み込まないとは、言えない。
ウクライナともパレスチナとも、繋がっている。
どの国も、戦争のスイッチを握っている。
その大元は、他の動物とは違う、理由がある。

それは、この本を開けばわかる。

ウクライナ、パレスチナ、アフガニスタン、イラク、南スーダン、僕の知らない数々の紛争。
国内に目を向けて、沖縄の基地、外国人・朝鮮人・アイヌ・ジェンダー・障害・マイノリティ差別、格差貧困、政治不信、孤立孤独云々。

思いつくままに出てきた言葉も、僕の興味関心から沸き上がる言葉の羅列になる。

まずは知る。知り続ける。
たとえ一時期忘れても、また知り直す。
知り続ける。これは活動だ。活動は、自分を何かに繋げる。他の知識に。他の人に。同様の関心を持つ人に。

晴れている日もあれば、ミサイルの日もある。
予報はない。
そのような日常が減るために、成立しないように、知る。

そして発信する。
思いや考えを、発信する。

僕がもしウクライナやパレスチナとつながるとしたら?
読書が好き、歴史が好き、キリスト教やイスラム教の宗教に興味があって、教会などの建築物が好き、写真が好き。
そのような好きが、紛争地域とのつながりを保ってくれるかもしれない。
そして、国内の問題にも。つながりは維持されるかもしれない。

何もできないとつぶやくよりは、知る。知るのが楽しいから、それでいい。
発信は、勇気が必要でもある。細々と、続ける。

ところで、本書には、フェイクニュースの対応法、発信の注意点、物事の見方についても示唆があり、一読の価値がある。

晴れとミサイルが並列化されているタイトルに、出会った時に数分間文字を見続けた。
ミサイルというカタカナ四文字の実感のなさ。
否、国内外に確実に存在する武器なんだよね。
見ていないだけで。

見えないから。
しつこいけれど、知り続けるよ。