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【69回】読書日記(190222)〜十字軍物語読了

にゃんにゃんにゃん。
今日は猫の日か。
そして明日。2月23日は、2020年からは天皇誕生日になるのか。

○塩野七生「十字軍物語4」(新潮文庫、2019年)

「十字軍物語」を読み終えた。
高校教科書ではさらりとした扱いでも、これだけのドラマがありましたか…!という、歴史のおもしろさに感激した。
そもそも教科書はほんの一部を扱っているだけだから、知りたい分野の歴史はどんどん学べばいい。

十字軍も、率いる者がいる以上、リーダーの考え方が成否に関わる。
特に、カトリックの考え。例えば、法王インノケンティウス3世。

キリスト教徒である王が不信仰の徒であるスルタンと講和を結ぶこと自体が、あってはならないことなのである。(第3巻、p311)

ローマ法王庁の考え

聖都イェルサレムの「解放」は、異教徒の話し合いによるのではなく、キリスト教徒が血を流すことによって成し遂げられるべきことなのであった。(第4巻、p83)

第3次十字軍の、獅子心王リチャード。
第6次十字軍の、神聖ローマ帝国皇帝フリードリッヒ2世。
講和で中東の平和を手にしたのに。

カトリックの考えに基づく、第7次、第8次の十字軍は大敗し、キリスト教徒は血を流しても、イェルサレムは手に入れることはできなかった。

その第7次、第8次十字軍を率いたフランス国王ルイ9世は、列聖され、聖人になっているのは、カトリックの考え基づいた行動だったからか。

しかも、十字軍が終了した時期、ローマ法王の力は地に落ちる。アヴィニョン捕囚だもの。
カノッサの屈辱からのアヴィニョン捕囚。十字軍のおかげで力が落ちた200年。

ローマ法王庁直属の軍隊があれば、歴史は変わったのかな。
軍隊を持てないローマ法王庁が、神聖ローマ帝国やフランスを強化したからこそ、法王の力は減っていったのだから。

この後は、ルネッサンスか。
世界史おもしろいなあ。
「ローマ人の物語」挑戦するかなあ。


○門井慶喜「銀河鉄道の父」(講談社、2017年9月)

第158回直木賞受賞作品。
宮沢賢治の父が主人公。
僕も人の親だからこそ、通じるものがある。
時代は違うから、ここまで「ご主人」な一家を支える偉い立ち位置ではない。けれども、偉そうにしているけれど、徹底的な看病をはじめ、自分の子どものことをとにかくあれこれ考える人。
特に賢治の行く末が心配で心配で。物語や誌を書くようになって、ようやく安心した。

あれがしたいこれがしたいという賢治に反対意見を述べる父。
何でもかんでも反対するわけではない。
賢治の幸せを思っているからこそ。

賢治の妹が、そして賢治が、同じ病で先に亡くなってしまう悲しみたるや。
娘が先に亡くなるなど想像もしたくない。
きっちりと、一家の中心だから、遺言を聞き出そうとする姿勢。
悲しみの中でもやるべきことを選択できる力。

読み終えて、「春と修羅」を開く。
「永訣の朝」を読む。
場面を想像すると、泣けてくる。

父親として、できるだけ長い時間、娘たちとともにいたいなあ。