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【778回】北海道自転車1周記4日目(旭川→小平113km)〜お姉さん、ひまわり、時速40km

199X年8月  
4日目
旭川〜深川〜妹背牛〜北竜〜留萌〜小平 113km
走行時間 6時間14分


PART1.旗とお姉さん

低温注意報が出ている。8月とはいえ、さすが北海道…。

上智の彼は、朝のうちに、旅立っていった。士別に行くという。どういうルートで走っているのだろう。彼も、北を目指すのか?で、あれば、また出会うこともあるかもしれない。僕も、最北端・宗谷岬を目指すのだ。

目指したいのに、なかなか出発できない。
自転車に装着しているバッグのレインカバーが破れてしまった。
そして、音楽を聞くためのMDウォークマンが壊れてしまった…。
直すのにこだわってしまったのだろう。春光台公園を午前10時に出発するなんて。

同じ、午前10時に出発するライダーが数名いた。
ライダーを見ていると、バイクに旗をつけている人がいるのがわかる。
ホクレンのガソリンスタンドで給油をすると、旗を1本もらえるのだという。
自転車旅行者は給油をしない。そのため、ホクレンから旗をもらえない。
でも、なんか、かっこいい。旗が欲しい。僕も自転車につけて、旅行者気分を味わいたい。

ライダーさん、僕に旗を1本くれません?
とは言わない。
言わないけど、もらえた。欲しそうな目をしていたのだろうか。
当時19歳だった僕は、旗をゆずってくれた人のことを覚えている。
顔はわからないが、年上のお姉さんだったことは、十分印象に残っている。
お姉さんからすると、僕なんてちっぽけな青年だったろう。しかし、19歳の僕にとっては、赤面してしまいそうな事件である。

ありがとう、お姉さん。あなたのおかげで、旅行者気分が上がりました。


PART2.神居古潭まで

今日の目的地は留萌だ。日本海側に出る。日本海に沿って北上していけば、宗谷岬に到着できる。
旭川から深川へ抜けよう。国道12号線がメインルートではあるが、こちらは自転車。どうやらサイクリングロードを使って抜けていけるようだ。しかも、JR函館本線の廃線跡を転用してできたサイクリングロードというではないか。もともと列車が通っていたところを、トンネルを走り抜ける。そのまま、廃駅となった神居古潭駅に到着する。ははぁ、これは楽しそうだ。

通行止めだった。

素直に、国道12号線を走ることにする。

旧神居古潭駅と、お姉さんからもらったオレンジ色の旗

国道12号線から離れ「神居古潭駅」に寄り道。
名前がカッコいい。

PART3.いちめんひまわり

ウロコダンゴは?ウロコダンゴ食べないの?
今の僕が、昔の僕に話しかける。
お金が限られている。食事はなるべく安く済ませなければ。

深川名物ウロコダンゴ好きなのになあ。
この頃は、初めて訪問する場所が、初めて見る景色が多すぎた。
自然があふれ、寂しい無人駅が多く、広大である、不思議な大地である北海道を眺めて回りたい気持ちが強かった。

だから、ウロコダンゴには手を出さず、景色を堪能した。

デジカメがない時代、指が入っていても撮り直しできない

深川から妹背牛へ。妹背牛駅の待合室にあるソファーに感激する。
無人駅に、ソファーですって!駅寝していいよってことじゃない!

妹背牛から北竜へ。
8月、北竜、つまり、ひまわりだ。

北竜町といえば、ひまわり。深川留萌自動車道のインターチェンジの名前も、「北竜ひまわりIC」というくらい。

奥までしっかり、いちめんひまわり。

ひまわりの種を使ったアートがあった。
「この絵には、ひまわりの種が何粒使われているでしょうか」
記録によると、20分ほど考えたらしい。
本当に、マイペースな旅行をしている。留萌に行くために、これから峠を超えるのだけどな。

PART4.留萌到着

北竜町から留萌市へ。
「美葉牛峠をこえた」
峠越えの記録は、8文字で集約されていた。
疲れたとも、楽だったとも書かれていない。この記録を書いた時、北海道で最も高い峠「三国峠」、旭川と北見を結ぶ「石北峠」、知床半島を横断する「知床峠」といった、苦しい大きな峠道を制覇したあとだった。だから、8文字で表現したのだろう。

今の僕は、ちょっとした坂でももうグッタリだ。
19歳の僕よ、カッコいいぞ。
さあ、留萌だ。腹ごしらえだ。

199X年、留萌駅 おそらくここで、きしめんを食べた。
2022年の留萌駅。
自転車旅行で食べたきしめんは、この店だと思う。
2022年にいただいた、にしんそば

この駅そばの店は、2024年現在、「道の駅るもい」敷地内にある。


PART5.黄金岬から時速40km

留萌駅から、海へ向かう。札幌から出発して4日目。初めて海側に出る。
旭川の春光台キャンプ場で、初めてのソロキャンプを無難に過ごしたため、今日も明日もキャンプをしようという気持ちであった。

黄金岬キャンプ場。今日の宿は、海が見えるキャンプ場だ。


黄金岬

黄金岬キャンプ場に、テントを張るスペースはなかった。やばい、泊まるところがない。キャンピングガイドを見る。

別のキャンプ場を探す。黄金岬から北へ約15km離れた場所に、望洋台キャンプ場がある。留萌市の北、小平町のキャンプ場だ。

黄金岬で、18時。夏は日没まで時間があるとはいえ、急がなければ。日が暮れると、自転車は運転が難しい。

時速40km…記録にはそのように書かれている。
前後左右にバッグ、荷台にテント・シュラフ、飲料水。荷物だらけの僕は、時速40kmも本当に出したのか?
ともかく、僕の力をフルに使ったということなのだろう。海沿いに15km北上する。なんとか、キャンプ場入口に到着した。
望洋台キャンプ場が山の上にあり、坂道と、ヘアピンカーブを3つ超えてやっと到達できるとは、想像もしていなかった。

受付を済ませ、暗闇の中、テントを設営。

無事に、宿にありつけてよかった。

4日目は、これでおしまいです。
ありがとうございました。