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「知の巨人」の酒

植物学者、牧野富太郎博士の物語がNHKの朝ドラ「らんまん」として放送されているが、ドラマにもある通り、牧野博士の生家は高知の酒蔵だった。この酒蔵は昔に廃業となり、その建屋などが現在も続く酒蔵である「司牡丹酒造」に買い取られ、現在もその一部が残るとか。。司牡丹は有名だ。その銘柄を知る人も多いだろう。今回の朝ドラブームを受けて、牧野博士ゆかりの酒なんかも造っているらしい。

最近知ってちょっと驚いたのが、あの「森羅万象に通じた知の巨人」とも言われた南方熊楠の実家も酒屋で、しかも現在まで続いているということ。この酒蔵は、和歌山県の「世界一統」という酒造会社で、南方熊楠はその創業者の実子、現在の社長も「南方さん」という直系。。というか、同じ一族であるので、こちらの方がすごくない?って思ってしまう。。世界一統はそこそこの規模の酒蔵なので、和歌山県では地酒として多く出回っていると思うし、他県でも見かけることもあるだろう。

そしてこちらがその蔵のお酒、その名も「南方 超辛口純米 無濾過生原酒」。辛口指向の日本酒で、米の旨味と辛口を両立させる造りとされる。表記はされていないが、辛口を示す日本酒度は15.5とのことなので、結構な辛口だ。

世界一統 南方 超辛口純米 無濾過生原酒 22BY

たしかに辛口ではある。その後に米の旨味や厚みが来るとのことだったが、辛さの刺激と同時に来る。香りは割とある方だと思うが、フルーティーな感じではない。かといって、昔ながらの酒臭さも低く、まさにドライで軽い香りだ。抜栓直後に瓶からもほのかに香りが漂う。

辛口と言えども、飲んだと同時に少しの甘みも感じる。これは酒がまず舌先に当たるからだろう。舌先は甘さに敏感だから。

全体にちょっと硬い。辛口は料理に合わせやすいと言われるが、このお酒は美味しい料理を食べながら次の杯に行けるかというと、ちょっと間を置いてしまう。度数の高さを感じるというところもあるのだろう。

抜栓直後はそのような感じが強く、しばらく置くと少しこなれてくる。お猪口などでチビチビとやれば、米由来の味も輪郭がはっきりしてくるので、酒の肴と合わせやすくなると思う。

「森羅万象に通じた知の巨人、南方熊楠を想いつつ、ゆっくりと呑む」そんなお酒。

南方熊楠との縁が書かれている。

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