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スープのようなお酒

燗酒。これは日本酒独特の味わい方でもあり文化でもある。日本以外にも、お酒を温めて飲む習慣や飲み方は無いことは無いけれど、こんなに細かく温度設定をするお酒は無いんじゃないだろうか?

常温域の「冷や」から、「日向燗」「人肌燗」「ぬる燗」「上燗」「熱燗」「とびきり燗」の温度帯、その暖かさを想像できる名前付け。そして、徳利や盃で冷めてしまってからも、「燗冷まし」として楽しめる。

最近はちゃんと燗酒をつけてくれるお店もポツポツとはあるが、やはり冷酒として供されることが多いかな。。関西でも燗酒はあんまり人気ないって酒屋の人が嘆いていたっけ。。私は燗酒大好きですよ。

徳島県 芳水酒造 高柿木 純米生原酒無濾過中取り 22BY

この「高柿木」、四国は徳島の酒。芳水酒造というあまり知られていない蔵のお酒だけど、これがなかなか旨い。濃醇な米の旨さに、出汁の旨味をさらに凝縮したような味、ポン菓子の焼き米のような香ばしさもある。こちらは酒屋さんでわざわざ一年寝かせて落ち着かせているが、それでも開栓直後はアルコール感と全体の味が少し浮き気味。しばらく常温放置すると、これでもかというぐらい濃縮感が上がり、味も開いてくる。それを燗酒にすると、もうそれだけで濃厚なスープだ。

しっかりと味付けしたマグロのヅケも、油で炒めて胡椒をたっぷりと効かせた親鶏も、この酒の相手にはならない。用意したアテを悉く蹴散らしてしまう。甘くて濃厚な玉子焼きや、味噌を使った煮込みや炒めものなど、強力な肴の布陣を敷いて臨んだ方が良さそうだ。

それでも美味しいですよ。単体で呑んでも良いし、料理と合わせるというより、料理の一品としてスープのように愉しむも良し。そうゆうお酒。

筆者 facebook 2023年3月 投稿より


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