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スマイソンの紺色のリボン

2016年12月29、新月
わたしは、
リボンがしっかり結ばれた小さなスマイソンブルーの箱を
スーツケースに入れて、東京の横浜にでかけた。

家にひとつ、またひとつと増えていく同じ色の箱は、どれも
自分の手で買ったものだった。


その、スーツケースの中のリボンがかかったままの何が入っているのかわからない
同じ色をしたひとつ、以外は。



その新月に、
そしてわたしは、
その箱をあけるつもりで
夜の横浜をイルミネーションの観覧車の脇を
たったひとり

歩いていた。

ただ、
なんとなく、

連絡の途絶えたそのひとは
その夜に

東京にいる気がして

夜遅い時間に
いつもみたいに

ホテルの部屋のドアが鳴って

ドアが開いたら
何も言わずに抱き上げられる気がして

そんな

夢みたいな夢を見ていて

そしてそれは
夢のまま、

終わったのだった。

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