【詩】九月の城
君の去ったこの九月の城は
青く露草の色
どんなに雲が形を変えて
夕暮れに輝こうとも
全ては乾いて風の音を立てる
手すりもない下りの階段が
空に落ちていくように
青の中に吸い込まれて
その先に船人もない
空っぽのこの九月の城は
形ばかりが日差しに輝き
寂しさが遠くから来て懐かしく
余計に君をいとしく思い
やがて冷えゆく夜から
この炎を守るため胸へ隠した
まだ両手が温かいうちに
全ては乾いて風に靡く
髪も草木も雲も伸ばす手も
君の愛した歌声も
風に靡いて蒼穹に流れ去った
もう誰もいない九月の城の炎は
西の夕空に微か
赤く瞬くだろう
あとがき
きょうは空の日って聞いたので、空、空…蒼穹!蒼穹の…!!ということで…。懐かしく寂しく残る印象を詩にしてみました。懐かしいというのは、一番くらい美しい感情だと思います。取り上げられたくて待っているような…、それを楽器のように奏でたら、嬉しいと思います。
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