【詩】めぐれ天星

めぐれ天星 さだめととがめの轍に沿って
めぐれ天星 渡れぬ川が天嶺から黒く流れて閾をえがく
めぐれ天星 星生みの雲も彼岸の灯台も
すべてが余剰の塵で出来た
虹の光も盟約も指先ほどの重さもない
言の葉も音の調べもつくりものの絵物語
めぐれ天星 いつか落ちゆく螺旋を廻り
歌終わり、火が消えるとき
望むなら再びの旅に出る

望まなければ始まらなかった
始まらなければ仮定さえもない
始まらなかったならこの空もない
青赤金の星屑散らすこの戯曲
めぐれ天星 罪科の淵の輪郭描き
めぐれ天星 雲間を駆け抜け歌声鳴らし
水底照らすことわり知らずの一つ星


あとがき

前投稿常夜のうたから、巡れ天星のフレーズを引き継いでの詩ですが、異なる場面で書いたもの。
七月国シリーズは特に、寓話的になっているから私にとって興味深く大切な物語詩です。

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