【詩】極光の指

あなたの差し伸べた指先が
夜空の天井に触れて青緑の電離の波となる
眠りのあなたの無意識が
不規則な太陽の息吹となって
青紫の薄絹のカーテンを揺らす
無数の白い星々の世界から
あなたの見えない指先が
夜の真ん中に光を流し入れ
白い氷上のどんな鋼もにび
その果てしなく遠い女神の国を
見上げたまま動くことができない

あなたは瞼を下ろしたまま
灰色の獣たちに眼差しをくれもせず
何の夢を見て何を探し
氷の国へ指を差し伸べるのか
永遠の国へ連れ帰る小鳥を
遥か昔に落とした耳飾りを
たおやかに揺らめく電子の指先
あなたが夢の中探すものが
私の瞳であったなら
凍った睫毛に隠れぬように
私はあなたを見上げていた
誰もあなたを見上げていた
夜に孤独なもの達はみな

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