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【詩】帰りゆけ西風

うす硝子の窓をたたいて何度訪れても
下ろした閂でとざしたものを
夜風に乗せて甘やかに花の香を伝え来て
懲りもせぬ西風ゼファー憐れみは
この身にはもはや注ぎきれぬのに

帰りゆけ西風ゼファー
その花弁は持ち帰り
遠き人の眠れる瞼へと

帰りゆけ西風
この部屋にまだ春は要らない
遠き人への一言の別れの言葉を共にして

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