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サイレント・ランニング SFは楽しい


サイレント・ランニングは淀川長治さんのお好きな映画で気に入ったもののひとつ。汚染された地球で生き残った植物を守るための話というのが新鮮だった。初めて人間が自然の一部でしかないっていう過激なエコ思想に触れたからだと思う。その切実さと怒りをとぼけたユーモアで包んで演じるブルース・ダーン魅力的だった。

彼と不思議な形の物言わぬ三体のロボットたちとの交流で、話がほとんど進む。ほぼ一人芝居。のちに図書館で借りたカーク・ダグラスの自伝を読むと、彼が大ファンでスターにしようとプロデュースした時期があったと知った。ヒッチコックの最終作の主演のひとりだし、本物の名門出身者という境遇をいかしてロバート・レッドフォード版の華麗なるギャツビーの語り手役を演じた。スターになれる可能性は確かにあったんだろう。

今ではデビット・リンチのミューズ、ローラ・ダーンのお父さんっていうのが彼の立ち位置なんじゃないだろうか。カーク・ダグラスも若い人には誰ってことだし。

後に見たスターウォーズの裏話もので、この映画の監督ダグラス・トランブルはスターウォーズを断ってエイリアンに参加したSFX特撮さんであったことを知った。三体のロボットたちの中は体を一部を失ったベトナム帰還兵の方々だった。そして、スターウォーズの名ロボットR2-D2とC-3POの元になったことも。この映画はアメリカの宇宙を目指す技術者やSF好きの大好きな映画らしい。私も当時の新しい科学的な知見への好奇心がかきたてられたし、素晴らしい映像に感動した。

淀川さんは映画評論家としての知識が豊富な方だから、この映画はいいと思って進めてくれたんだろう。映画が心を温めてくれるものだと信じている方だった。

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