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2018年4月の記事一覧

夕暮れにて

夕暮れにて

 御殿場インターをおりたところに、元総理、岸信介が晩年を過ごした東山旧岸邸がある。御殿場には和菓子のとらやの工場があり、その美しい庭にはとらや工房という、おいしい和菓子を出してくれるカフェがある。あかちゃんやご老人を連れた家族づれでなごやかだ。

建物の中心は木の会議用の長い机といすがならんでおり、かつては会議なんかが開かれたようだ。案内の人によると、奥さんのいなくなった最晩年、彼はそこの机で庭を

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天下のひまじん

天下のひまじん

天下のひまじんって、言葉、知ってますか。父がよくいっていたことばで、一般的ではないのかもしれない。なんか楽しいイベントに行った帰りなんかで、ほくほくしているとき、よっ、天下のひまじんって、私の中で聞こえる。いっつも、ひまそうにしているな。のんきだな。

病院に行ってみる。そこは、働いていない人で満ち満ちているのである。そこでも、ひとはせわしそうだ。生死がちかくなるから。なにかができなくなった人ばっ

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好きになることと嫌いになること

好きになることと嫌いになること

人は本能で、体が新しいものや人に会うとやだという反応をする。まず、自分に異物を認識するのだ。

 ときどき、いいひとと多数に言われてる人なのに好きになれないという反応をするときがある。あとで、あの人はやっぱりという評判を聞くこともあるし、聞かないときもある。聞かないときはやっかいだ。その人のダークサイドにアクセスしたということだ。そういうところをその人が自分をだまして気が付いていないのに、見つけて

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歩くこと

歩くこと

歩くことが好きだ。子供のころ、下町の路地にいろんな草花が植えられていてた。あてどなく歩く。いやなことがあっても、そんなやさしさに慰められた。電車のストのときは、線路をひとり歩いた。ともだちができづらく、先生なんかは気にしていたけれど、線路に大の字にねころがったりした。甘美だった。

いっしょに人と歩くことの喜びよりも、自然や風景とのあわいかかわり。人間の作った世界の美しさ。この季節、人がつくった桜

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夫のもんだい

夫のもんだい

今まで、他人に夫をよぶとき主人とよんできたけど、それはこのごろ、違和感ある。ちかしいひとには名前がしぜんとでるけど、とおくのひとには、連れ合いとか夫とか言いづらい。でも、家意識が薄れてきた今、主人はないよなって思う。でも、年配のひとや公のひとにはこびてるんじゃないけど、慣れてる主人と言って、あれって思っている。ことばにこだわるひとなんでもやもやする。

けさ、出かけにニュースを見てて、事務次官のセ

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日々の記憶 四月はばかだ

このごろ、寒暖の差がはげしい。暑くなったり、寒くなったり。でも、考えてみると去年もそうだったんじゃないか。忘れてる。でも、ちょこっとつけるとテレビは今年は特別だと毎年言ってるし。日々、いろんなことを忘れる。大切なことさえも。年を取っていると、昔のことばっか知ってことも実感してきた。

どっか、集団で、昔あったことは忘れろっていう魔法でもあるようだ。それが生き抜くということなんじゃろな。カズオイシグ

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