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成果を生み出すテクニカルライティング

もう8月も終わってしまう…前にnoteを更新せねばということで、
今回は「成果を生み出す テクニカルライティング」という本を読んだので備忘録として書いていきます。

この本の伝えたいことは
本書に書いてある黄金フォーマットを用いて、正しく思考を整理し、それを正確に言語化できれば、研究開発で継続的に成果を上げることができる
ということである。

意外とこのテクニカルライティグ(技術文書など)の書き方を学ぶ機会は無いので、技術者や研究者は非常に勉強になる内容であり、大学の理系の必修科目にすべきではないだろうか。

それでは本の内容について掻い摘んで記していこう。

 言語化する能力

まず、この本で何度も出てくる重要なポイントが「言語化する能力」だと思う。自分の思考を明確にするためには、考えを文章として表現することが必要不可欠だということである。逆にいうと、自分の考えが曖昧な状態で、その考えをはっきりと明文化できないことが多くないだろうか?

人間は言葉を使って物事を考える生き物であるので、研究課題などを文章に起こすことで自分の理解度を知ることできる。文章に出来ない箇所については原因を探るべき部分であり、大元の仮説が間違っている等、重要な見落としに気付けるかもしれない。

以上のことから研究者やエンジニアにとって言語化する能力はとーっても大事な基礎であるということであった。

 相対化する能力

続いて大切な基礎である「相対化する能力」。
こいつは先行研究や先行技術に対して、自分の研究成果の相対的な位置付けを正確に把握する能力であるとのこと。(ワカリづらいな…)

つまり、自分の研究と先行技術との差分の内容(オリジナリティ)と差分の大きさ(インパクト)をしっかり把握できてますか?ということ。例えば、この研究成果は、AIの技術を酵素改変に利用し(←オリジナリティ)、既知酵素に比べて10倍も酵素活性が向上したことです(←インパクト)!ということを事実に基づいてしっかり説明できれば問題ないでしょう。

これも研究者にとって滅茶苦茶〜大切な基礎能力だと思う。
研究に取り組む際に事前調査が不足すると、自分のオリジナリティを主張するために何をすべきかが曖昧になり迷走するのだ。この経験はあるし、今取り組んでいる論文についても事前調査は抜かりなくやろうと改めて感じた次第である。

 黄金フォーマット

いよいよ、表紙にも記載されている目玉の「黄金フォーマット」について触れよう。

まず文章を書くという行為自体はとても自由度が高いため、優秀な技術者であっても「技術資料っぽいエッセイ」を作成してしまい、読み手は書き手の意図を読み解くのに一苦労する。

この「黄金フォーマット」により、記載の自由度を下げることで、読み手に伝わる技術文章を書くことできるのである。

その内容は 「背景・前提」「課題」「手段・アプローチ」「効果・結論」の4つのボックスからなるもので、これらを埋めて、文章にしていくといったものである。

ここで重要になるのが「隣接するボックスの内容の関係性を満たす」という条件を遵守することである。以下に文字で「黄金フォーマット」をかきたいを表現します。笑

   背景・前提      ➡︎しかし➡︎      課題
 ・今まではどうだった?         ・直面している問題
      ⬆︎                   ⬆︎
       差分                          裏返し
                         ⬇︎                      ⬇︎
   手段・アプローチ     ➡︎だから➡︎         効果・結論
       ・どう解決する             ・結果から言えること

つまり、この関係性部分(矢印の間)が満たされている内容になっているのか?がとーっても重要。この関係性部分を満たした技術文書は、「なぜ今この実験しているのか?」「なぜこの解決手法を採用したのか?」等の疑問がすんなり解消される。

ただし、例外もある。
それは研究開発の現場でよくあるが、必ずしも結論が課題解決に繋がらないということである。(そんなにすぐ解決できることじゃないから、研究してるんだよ〜笑) なので、裏返しの関係が緩くても問題ないということであった。

詳細は実際に読んで貰うと、自分の文章や説明の足りない部分がよく見えてくるのでオススメする一冊。

あと個人的には、「結果が出るまでに論文を書き上げる」という箇所がタイムリーで参考になった。論文を書いて、思考が整理されれば、その論拠が導く通りに成果が出てくる…この考えは非常にしっくりにくるものであった。先行技術に対する理解を深めておけば、自分が実施しようとしている研究成果は大凡予想できるものだからね。一方で、予想も出来ない結果が出てくるところが研究の醍醐味であるので、しっかりと仮説を立て実験を行い、得られたデータに真摯に向き合うという習慣が大事だと思う。

今回は以上!
お付き合いいただき感謝です。

とりあえず次回も読破した本の備忘録でも書いていこうかな。

そして論文に向けたデータ取りも頑張る。。(業務時間外こそ勝負なのだ〜)

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