ファスト&スロー
ダニエル・カーネマン著
心理学者でありながらノーベル経済学賞を受賞したダニエルカーネマンの著書。
人間が意思決定し、行動するまでに脳内で何が起こっているのか。人間がどれほどバイアスを喰らっているのかについて。
自身が認知していない部分で私たちの脳は働き、知らず知らずのうちに行動に影響される。
多くの心理効果がエピソード付きで記されていたが一部紹介する。
1. 2つのシステム
タイトルである「ファスト&フロー」とは脳のシステムのこと。
著者は、素早く判断し直感的に考える脳のシステムを早い思考、システム1。
頭を使い、熟考的、論理的思考をするのがシステム2とした。
この2つのシステムの特徴、相互作用、生まれる錯覚について序論で詳しく述べられている。
ヒューリスティックとバイアスの関係も。
どちらのシステムにも注意を持続させる限度額がある。
簡単なミスをしてしまうのは注意力をコントロールできていないから。考える時間が長くなるほど注意力は下がり、判断力、行動の質も落ちていく。
限度額を決め、どこでエネルギーを使うのかを決めておかないとエラーが発生する。
2. 統計学とバイアス
統計学で数字を説明することはできるが、理由はない。
例えばプロバスケの試合で1〜4試合目は好調で勝利したものの5〜8試合目は不調に見舞われ敗北する。その後の9.10試合目は調子を取り戻し勝利する。
熱心なファンならこの5〜8試合目の不調について理由を説明したがるはずだ。
「あの選手が悪い」「あいつのシュートが入らなかったから」「雰囲気がまず、悪かった」
などの最もらしい後付けの主張を始める。
わかったような顔をして、評論家ぶりを発揮する。
統計的に見ればこのチームは10試合中6勝4敗のチームでしかない。
あの選手は平均で10本中3本しか入らない選手でしかない。
大会で勝つなら数値が全てであり、その数値の平均の底上げを目指して練習するしかない。ここぞと言うときに最大値を発揮できる運を持ってくるしかない。
ステレオタイプの抑制、メンタル面で強化は可能だが。
「〜だから〜だ」という方程式や一貫性はそう簡単には発見できない。
世の中は、不規則で不特定で偶然である。
優秀な起業家がいるから、株価が上がるのか。
本当に戦略や企業文化、人材によって会社は成功しているのか。それらがどれほど株価に影響しているのか。
成功すれば成功者には方程式があると信じ、後付けとして都合の良い解釈を始める。これもバイアスの一つだ。
バイアスを排除するには数字が必須。
統計学の本、読もう。
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