朝刊の記事から考える。「悪意なき秘密漏洩に注意」。

「悪意なき機密漏洩に注意」という記事が掲載されている。

転職者が前の会社の情報を持ち出してトラブルになるケース、法的な
問題になるケースについて述べている。

世間で大きく取り上げられたのは記事にもある「かっぱ寿司」の営業情報
持ち出しの事件である。

確かに以前よりははるかに転職が容易になった。「終身雇用崩壊」のような
聞き飽きたような言葉も多いし、少し前にキーワードとなった「ジョブ型雇用」論等が出てくるに至った。

記事の中では「頼んでもいないのに転職者が情報を持ち込んだ」という事例が目立つと弁護士が述べられている。

これは潜在的にはかなり多い気がする。

一昔前の転職者はどちらかといえば「一匹狼」的な方が多かったと思う。
もしかすると、記事の最後にもある「前の職場を退職する際の感情的なもつれ」もあったのかもしれないが、それでも淡々と職人的に仕事をしていて一目置かれている方はいらしゃったと思う。

一方最近は「リファラル採用」「アルムナイ採用」のような多様な採用の形が出てきたためでもあろうか、あるいは人材不足の世の中の為でもあろうか、とにかく「まずは頭数をかき集める」ような採用が増えている印象を持つ。(人手不足倒産という言葉が出てくるくらいなので、それも分からなくはないが、今回の話からは外れるのでまたそれは別の機会に。)

思考実験だが、例えば、中途採用で入られた方が、リファラル採用で、前職の社員を採用するようになってくるケースが出てくるかもしれない。そうなると、今度は「前職の知識や情報を使っていない」事を証明できなくなり、かなりグレーになる。そこまでくると、さすがに人事などの採用担当者は何を見ているのか、という話になると思うので、極端なケースかもしれない。

中途であれば即戦力を求められる、となれば、究極の禁じ手である「前職の情報」になるのだろうか。このリスクはしっかり議論しておかないとあとあと禍根を残しかねない。

ニュース等を見ていると、法令遵守やコンプライアンスという言葉が慣用的に「ハラスメント」と同義に使われる事が多い。今後、日本社会において今以上に「雇用の流動化」が進むのであれば機密保持、情報管理などの観点が強く要請されて来るように感じた。

以上。

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